中川淳一郎×嶋浩一郎「激動のネットニュース20年史」プロローグ

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ネットニュースやキュレーションメディアの実態、デジタルPRの実践と基本などをまとめた新刊『デジタルPR実践入門 完全版』(月刊『広報会議』編集部/編)が宣伝会議から8月1日、発売された。

本書では、博報堂ケトル・嶋浩一郎氏監修のもと作成した「スマホ時代のネットニュース全体像」最新版(序章)のほか、編集者の中川淳一郎氏による「企業のネット通信簿」(第三章)など、デジタルPRの基本項目を学びたいマーケター、広報担当者向けの資料を収録している。

9月5日には、同書の出版記念イベントとして、東京・下北沢の本屋「B&B」にて、中川氏・嶋氏による対談「激動のネットニュース20年史」を開催する。詳細はこちらから。

1996年のYahoo!登場に始まり、2002年から「デイリーポータルZ」を中心としたウェブを楽しむ時代、そして2004年ごろを境に提唱され始めた「はてな」を中心とするWeb2.0の時代……。

さらには、2006年ごろの「テレビのネタをニュースにする、こたつジャーナリズム」の登場、そして2011年前後のソーシャルメディア隆盛期、2012年のステマ批判から昨今の「ステマ撲滅」の動きまで、20年分の歴史を網羅。

当日は、中川氏、嶋氏以外にもネットニュースの時代を創り上げてきた当事者たちも各時代の証言者として召喚する予定だ。なお、本イベント開催に際し、中川氏、嶋氏による特別対談を敢行。以下、「激動のネットニュース20年史」のプロローグとしてお届けしたい。

「こたつジャーナリスト」最有力化から10年が経った

嶋:今こそ僕は、ネットニュースのマネタイズを真剣にみんなが考えなければいけない時代だと思っています。ニュースアプリなどのプラットフォームによるキュレーションがどうなるかも大事だけれど、プラットフォームに配信されるニュースの質が何より大事。その集積がプラットフォームなわけで、ネットニュース媒体のマネタイズに関してはプラットフォームも参画して考えていかなければいけないね。

中川:確かに、ネットニュースの中には一次取材をしないものもでてきた。2000年代半ば、オレがネットニュースの仕事を始めた当時は「こたつジャーナリスト」なんて言葉もありました。テレビを見てそれをネタにニュースを書いたり、ブログ発のニュースが作られた時代ですよ。その時代、「オーマイニュース」なんかも出てきて、市民記者・市民ジャーナリズムみたいなことが言われた時代もあったり。

嶋:それが今の「Yahoo!ニュース個人」につながってるともいえるね。

中川:そうですね。最近は状況が逆転して、テレビや雑誌などマスメディアがTwitterやFacebookをネタ元にニュースを作っているケースも見受けられるようになった。

嶋:ネットニュースを見る人はそういう状況を理解しておかないとね。広報・PRパーソンとしてネットニュースをどう見るべきかについて話したいんだけど、いま「オウンドメディア」って言葉ができたからかもしれないけど、誰でも簡単にメディアが作れるって印象を与えてるのよね。

でも、メディアをつくるのってそう簡単にはいかない。それから、オウンドメディアをつくる担当者って自分たちのメディアをつくってそれでおしまい、って感覚の人が多い。でもね、ネットの世界って互いにつながっているから自分のつくったオウンドメディアがネット世界の中でどこに位置づけられるか相対的に理解した方がいいんだよね。

デジタルPR実践入門 完全版』の中でも「スマホ時代のネットニュース全体像」っていう俯瞰図を入れたんだけど、うまく作ればオウンドメディアはネットニュースやソーシャルメディアと結び付いてPVが流入してくる。ネットコンテンツ制作は自分だけじゃなくて、他人との合気道だからさ。

中川:ルミネの炎上した動画みたいに、ひとたび非難されると企画自体を引っ込めてしまうのももったいない。ネットPRは従来のメディアリレーションズとまったく違うもので、企業が個人に直接いじられるわけで、匿名のユーザーからいじられる耐性が必要ですよね。

嶋:一般論としてエスタブリッシュメントの企業であればあるほど「いじられる」耐性が低い気がします。匿名のアカウントをどうとらえるかというのは問題ですよね。

次ページ 「ステマは自分たちのインフラを自ら壊すことになる」へ続く


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