中川淳一郎×嶋浩一郎「激動のネットニュース20年史」プロローグ

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ステマは自分たちのインフラを自ら壊すことになる

中川:例えば、ペヤングが異物混入問題で炎上して、半年かけてパッケージの改良を本気で頑張って、それでも従業員の給料を下げなかった、解雇しなかった……っていう話はネットユーザーが最も好むストーリー。ある意味、炎上騒動から評判を高めたモデルケースだと思うんですよ。それも広報が声高に「頑張ってますよー!」と発信するでもなく、ぺヤング好きの記者たちがおそらく一生懸命取材してくれたからニュースになったんじゃないかなと。

嶋:ネットは頑張っている人たちが好きだからね。

中川:あとは、一見ネタっぽいエピソードが社会問題に密接に関わっている…っていうのも理想的なパターン。これは企業の話じゃないんだけど、8月6日に「NEWSポストセブン」から出した「森進一が28才年下恋人と映画デート 彼女に最初から惹かれた」っていう記事がヤフートップに載ったんすよ。これは「28も年下、39歳OL」という数字の具体性も良かったんだけど、背後にある年の差婚の増加、高齢化社会という流れを象徴してたからだと思うんですよね。

嶋:それはすごい。社会性とネタ性をもった情報が今のネットニュースで多くのPVを獲得するんだね。それはそうと話は最初の問題提起に戻るんだけど、小学館の「NEWS ポストセブン」のようにヤフーに記事を出張させて大量のPVを戻してもらっている媒体は、PVをバナー広告で換金するビジネスモデルがうまくワークすると思うんだ。

だけど、ネットニュースは200以上あってPVが集められない媒体はステマに走ってしまった。ステマは生活者が読むニュース全体の質を下げてしまったよね。それを売った広告会社や広告主も反省が必要。

中川:ニュースは社会のインフラですからね。ステマは自分たちのインフラを自分で壊すことになるわけで。

嶋:そうだね、それに対する反省としてネイティブアドのルール化(企業がお金を出した記事はPRとクレジットされ、ヤフーなどへ配信されない)が今年なされたよね。このことはネットニュース媒体に新たなマネタイズも可能にした。

でも、PVの換金とネイティブアドだけでは、現状、紙メディアが一次取材をしているコストは捻出できないと思う。デジタル時代に質の高いニュースをつくるコストをどう捻出するかは大きな問題。それは、ネットニュース媒体だけでなく、アプリなどのプラットフォーマーや広告会社・クライアントも考えなければいけない。そういう今後の展開も含めて中川とのイベントはネットニュースの歴史を振り返ってみたいと思う。


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