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伝統技術に基づく商品づくりと食べ方の提案で発酵食文化を振興—ヤマト醤油味噌

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株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
第4号(2015年8月27日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。

成熟化したと言われる環境下でも、新たな顧客を創造し、市場を創る経営トップがいます。そして、そこには瞬間的に売れるだけでなく、売れ続けるための全社を挙げた取り組み、さらには仕組み化があります。商品戦略、価格戦略、流通・販路戦略、プロモーション戦略に着目し、売れるためのアイデア、仕組みを解説・紹介していきます。


山本 晴一(やまもと・せいいち)
ヤマト醤油味噌 代表取締役

1957年生まれ。金沢市大野町出身。埼玉大学卒。在学中に北アメリカのオレゴン大学での留学経験をもつ。卒業後、地元の酒造会社で修業を積んだのち1983年に家業の「ヤマト醤油味噌」に入社。

伝統技術に基づく商品づくりと食べ方の提案で発酵食文化を振興

日本三名山の一つ、白山水系の豊かな伏流水と、北前船が運んだ麦や大豆、能登の塩といった自然の素材を使った醤油醸造が隆盛し、現在も醤油の5大生産地の一つに数えられる、金沢大野。食材の多彩さと新鮮さで知られる加賀料理の味覚を支え続ける醤油や味噌はもちろん、糀(こうじ)に漬けるかぶら寿司や大根寿司、ニシンやイワシ、フグの卵巣を粉糠(こんか)に漬けて食べる文化もあり、この地は「発酵食文化の聖地」とも呼ばれている。

そんな金沢大野で、3代にわたって糀を使った発酵調味料をつくり続けているのが、ヤマト醤油味噌だ。船乗りだった初代は、調達した醤油を北海道で売り、その売上を元手に手に入れた海産物や材木を金沢で売る商いを開始。2代目が北海道産大豆で醤油醸造を始め、3代目が味噌づくりをスタートした。4代目で現社長の山本晴一氏が就任してからは、醤油や味噌はもちろん、ポン酢やあまざけ、ドレッシング、つゆといった、国産の素材を生かした各種発酵調味料のラインアップを拡充するとともに、発酵食の良さを金沢大野から全国、そして世界に向けて発信する活動にも力を入れている。

「醤油づくりには糀、味噌づくりには米糀が欠かせない。我々は、醤油・味噌づくりと同じ歳月をかけて糀・麹(こうじ)を育ててきた『糀屋』でもあります。糀は料理の味をまろやかに、美味しくする効果があるばかりでなく、健康にも大変良い、優秀な食材です。糀の魅力をより多くの人に知ってもらいたい——その思いから、伝統的な醸造技術を生かして、現代の食卓・ライフスタイルに馴染む商品を生み出そうと日々奮闘しています。僕がマーケティングを担い、それを弟が商品へと具現化する。『伝統は革新の連続』を合言葉に、伝統的な醤油・味噌だけに留まらない、さまざまな新しい商品づくりに挑戦しています」と、代表取締役の山本晴一氏は話す。

弟の山本晋平氏は、「糀甘酒」をテーマに金沢大学大学院自然科学研究科で研究を行い、その論文で日本発の博士号を取得。その学術的な知識や解析の成果を、酵素を生かした「糀ソース」や「玄米甘酒」などの発酵食品の開発に積極的に応用している。

山本氏のマーケティングの原点は、同じ金沢の造り酒屋・福光屋での修業時代にある。米国の大学に留学、帰国後に地元の大学を卒業後、福光屋での修業を始めた山本氏は、酒蔵で杜氏に飲ませてもらった大吟醸酒の香り高さに驚き、「醤油でも、搾ったままの醤油の香りをそのまま商品化できないか」という発想に至った。他カテゴリーである酒にヒントを得て、30年前、香りの良さを売りにした日本発の生醤油「ひしほ醤油」を生み出した。食べた人を幸せにする商品を、常識に捉われない発想でつくる、ヤマト醤油味噌のものづくりを象徴する商品だ。

現代の食生活への糀の取り入れ方として、ヤマト醤油味噌は「一汁一菜に一糀」を提案。

「つくったはいいものの、当時の既存の販路では、まったく受け入れてもらえませんでした。小売りの経験などなく、問屋に卸して終わりというのが、それまでの当社のあり方だったのです。こういう新しいものを買ってくれる人はどこにいるだろうか…。そう思案し、ひしほ醤油を抱えて東京へ出て行きました」。

取引先にあてがあるわけではなかったが、幸運なことに、二子玉川の玉川髙島屋で商品の実演販売を行っていた人気料理家の目にとまり、それをきっかけに百貨店での扱いが瞬く間に増えていった。

「続きは100万社第4号本誌をご覧ください」


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