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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

戦国時代か、カンブリア爆発か。VODサービスが次々登場して追いつけない件について

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Netflix「7年間で1000万世帯」にある覚悟

とにかく、いつの間にか日本のVODサービスはプレイヤーが続々参入する百花繚乱花盛りの状況になりました。今後ぐいぐい成長しそうです。

とは言え、VODについて日本中で騒がれているわけではありません。むしろまだまだごく一部で話題になっているだけ。一般的な普及がはじまったと言える段階ではないです。

9月2日、サービス開始の日にNetflixのCEO、リード・ヘイスティングス氏にインタビューすることができました。この時、彼が言っていたのは「7年間で1000万世帯」という戦略目標です。

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物腰柔らかく、でも真摯に語るヘイスティングス氏。言うこともいちいち明解です!

アメリカでは7年間でブロードバンド世帯の3分の1に普及した。それを当てはめると、日本のブロードバンド世帯3000万の3分の1に普及するまで7年かかる、という考え方です。これは、Netflix日本法人・大崎副社長へのインタビューで「目標を持たない」と言っていたことと一見矛盾しているように思えます。でも、そういうことではない。

彼らは、短期的に目標を決めない。けれども、それとは別の“戦略目標”のような数値は持っていて、それが「ブロードバンド世帯の3分の1」ということみたいなのです。「世界のブロードバンド世帯の3分の1」という大きな視点の目標を持っていて、そこから日本も同じように考えているのだと思います。

そしてそれまで7年間かかる、と見ている。これは逆に言うと恐ろしい事でもあると思います。7年間もかけるつもりなのです。サービス開始の日に「7年間かける」と宣言している。それだけ本気だということでしょう。3年くらいで我慢できなくなって撤退したりする外資企業も多いのに、7年間かけると言っている。絶対に日本で粘るのだとも受け取れる言葉だと思いました。

7年間くらいかかると、Netflixはじめ今年名乗りを挙げたVODサービスは、多少あきらめたりどこかに吸収されたりするところも出つつ、成功していそうです。いまのレンタル市場くらいの、3000万世帯程度の普及を果たしている可能性はある。

そうなると、日本のメディア状況は大きく変わっているはずです。

テレビ放送は固定電話と同じ運命?

テレビ放送がなくなる、なんてことはないでしょう。でも、かなり比重が低くなっていそうです。テレビは放送を見る端末という側面とは別に、配信を見る時間が徐々に長くなるのだと思います。

この、テレビにおける放送と配信の関係について、リード・ヘイスティングス氏が面白いことを言っていました。

今後のテレビがどうなるか、放送と配信の関係はどう変化するか、と私が質問すると彼が例えに出したのが、固定電話と携帯電話です。携帯電話がすっかり普及しても、固定電話はなくなっていないだろう、と言うのです。固定電話はいつかなくなるかもしれない、でもまだなくなっていない。

放送も、いつかなくなるかもしれないけど、これだけ携帯電話をみんなが持つようになっても固定電話がなくなっていないように、そんなに簡単にはなくならないよ。そう言うのです。

でも、それって怖い例えではないでしょうか。いま確かに、固定電話はなくなっていない。まだまだ当分なくなりそうにはない。でも、いま固定電話を実際に使う時間はどれくらいあるでしょう。へたをすると一カ月間一度も固定電話を使わない、なんてことが当たり前のようにあります。

7年後、Netflixが1000万世帯の目標を果たし、VODが3000万世帯にまで普及したとして。その時、放送はなくなっていないにしても、どれくらい視聴されているのでしょう。そう考えると、これから劇的なメディアの変化が起こるのかもしれません。しかもそれは、たんなる勢力図の改変ではなく、広告も含めたメディアの根本からの構造変化になるのだと思います。昨日までのメディアビジネスの常識が通用しなくなるのかもしれません。

そんな、テレビとネットの未来をみんなで考える勉強会を私は毎月開催しています。私も一緒に参加して、メディアの将来を考えたい!という方は、こちらのページをご覧ください。未来を見据える勇気が、あなたにもあれば、ですけど。