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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

戦国時代か、カンブリア爆発か。VODサービスが次々登場して追いつけない件について

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【前回記事】「「ソーシャルテレビ」は、テレビのマーケティング価値を再浮上させるキーワードかもしれない」はこちら

VODサービスの覇権はどこがとるか

この連載は「テレビとネットの融合」という大変大きなテーマを掲げています。ですが、なんだかVODの話題ばかり扱っている気がします。と言っているそばから、すみません、今回もまたVODについてです。

というのは、9月2日のNetflixの日本でのサービス開始を軸に、続々と新たなサービスが名乗りを挙げているのです。日本のVODサービスについて、私の見立てはhuluとdTVの2大サービスにNetflixが加わって三国志の時代となるだろうというものでした。ところが、8月にはAmazonがプライム会員向けのSVODサービスを9月に立上げると発表し、さらにはTSUTAYAもサービスのリニューアルを行い定額制に力を入れていくとのこと。あまり目立たなかったU-NEXTも会員数が100万人に達したとリリースを出しました。

そして9月15日には、レンタル第二位のゲオが「ゲオチャンネル」を来年2月にはじめると大々的に発表しました。この発表会にはなぜか私もタレントさんと並んで前に出てコメンテイター的に参加したのですが、月額590円でVODが利用できる上、店舗もしくは郵送のレンタルも月額590円をプラスして使えるという画期的なものでした。dTVを運営しているエイベックスと提携するのも衝撃です。

ゲオホールディングス社長、遠藤結蔵氏はまだ30代の若さです!

タレントさんたちと並んで筆者も専門家として登壇。場違いですか?

こうなると三国志の比喩はまったく当てはまりません。この先も新たなプレイヤーが登場したり、ひょっとしたら合従連衡もありえる、完全な戦国時代。いや、生物があらゆる方向に爆発的に進化したカンブリア紀の様相です。どこがどうなるかさっぱりわかりません。

そんな中でも、TSUTAYAとゲオが本格的にVODをはじめたのは大きな意味があると思います。

VODがいよいよ日本でも!という話をすると、必ず出る反論が、「日本は無料の放送に慣れているので、お金を払って映像を見る文化は馴染まない。VODが日本で伸びるわけがない」というものです。それを聞くたびに、何を言っているのだろうと思っていました。だって大勢の人がDVDレンタル店に足を運んできたのですから。ゲオは、年間で稼働している会員数を1600万人と発表会で言っていました。TSUTAYAの会員はそれより多いので2000万人以上いるはずです。

重複はかなりあるでしょうけど、レンタルには3000万程度の会員がいると推測できます。これが世帯数とイコールだとすれば、約5000万世帯の日本で6割ものレンタル会員がいることになります。そして、彼らは「お金を払って映像を楽しむ人びと」なのです。無料はあくまで放送の話で、日本人の多くは有料で映像を楽しんできたのです。

そんな人たちが配信の利便性に気づくとしたら、彼らこそがVODサービスの最大の潜在顧客です。そしてそういう顧客を持っている他ならぬTSUTAYAとゲオがVODに力を入れると宣言したのです。わざわざお店に来てDVDを借りてくれているお客さんに「うちもVODをはじめました。作品によっては家にいながら映画やドラマを楽しめますよ」とセールスする。

Netflixも、もともとは郵送レンタル事業者でした。その自分たちの顧客を配信に移行させられたから、彼らは成功できたのでしょう。ということは、日本でこの形で成功するのは、NetflixよりTSUTAYAやゲオのほうかもしれません。

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