PRアワードグランプリ「東北食べる通信」は、お風呂で生まれた?

日本パブリックリレーションズ協会(以下、PRSJ)では、9月から、今年のPRSJアワードグランプリ(以下、PRアワード)のエントリー募集を開始した。しかし、誰がどんなキャンペーンを応募しているのか、誰がどういう意図で募集しているのか、誰がどのような指標で評価しているのかはあまり知られていない。そこでアドタイでは受賞者らのインタビューを通じて、PRアワードの全貌を解明する。

今回は昨年の「PRアワード」グランプリ受賞者の坂本陽児さん(電通 iPR局 情報戦略プランニング部)が登場。PRSJのアドバイザーを務める博報堂ケトルの嶋浩一郎さんが、PRアワード参加者の視点を聞いた。

「東北食べる通信」に夢中になりつつ、お風呂の重要性について語る坂本陽児さん(左)と嶋浩一郎さん(右)

世界初の「食べる」月刊情報誌

嶋浩一郎さん、以下、嶋:

昨年のPRアワードでは、「東北食べる通信」が見事グランプリでしたね。どんなお仕事なのか教えてください。

坂本陽児さん、以下、坂本:

「東北食べる通信」は、世界初の「食べる」月刊情報誌です。地方の生産者と都市に住む生活者の溝を埋め、双方に継続的なつながりをもたらすことを目的に、2013年7月に創刊しました。毎号、東北に住む熱心な生産者をクローズアップして、タブロイド判の誌面で特集し、その「付録」として、彼らが実際に作った農産物や海産物などを付けて購読会員にお届けしています。

嶋:

面白い取り組みですね。

坂本:

はい、読者はすでに1500人を突破して、今では約300人の方に新規購読をお待ちいただいている状態です。「付録」の食材を収穫するのに、物理的な限界があるんですよね。

2014年3月号の「東北食べる通信」はワカメ特集。読者には、誌面のほかに付録として、160センチ超のワカメ1株と大ぶりの牡蠣が届いた。

嶋:

大変な人気ぶりですね。坂本さんが東北の仕事に関わるきっかけはなんだったんですか?

坂本:

僕は育ちが福島県の郡山市なんです。ですから東北にはもともと親しみがありました。特に東日本大震災以降は復興支援の仕事として、青森ねぶた祭や秋田竿燈まつりなど、東北の6つのお祭りが一堂に会する「東北六魂祭」や、いわき市の風評被害に関する仕事に携わっていました。それを知った友人が、東北に面白い人がいるといって紹介してくれたのが、「東北食べる通信」の現・編集長である髙橋博之さんです。

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