レイ・イナモト氏が新会社設立へ 展望とAKQA脱退の背景は

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世界で一番小さくて、一番影響をもたらせる会社

イナモト氏にインスピレーションを与えたのは、あるレストランだった。「世界一、予約の取れないレストラン」として有名だった、スペインの「elBulli(エル・ブリ)」だ。シェフは「泡状の肉」(肉のエスプーマ)など、料理に新たな意味づけをしようと熱心な、フェラン・アドリア氏。同氏は、「エル・ブリ」をレストラン半分・研究所半分のような存在に仕立て、時に業界内からの非難を受けながら常に新たな料理の開発を続けた。店としては2011年7月末に看板を下ろしたが、財団化していまも料理研究を続けている。

「新会社では『エル・ブリ』のように、従来どおりのクライアントサービスを半分、研究を半分でやってみたい。特に研究では、新興企業とも積極的に組むつもり。知的財産権を持てるようなプロダクトやサービスを生み出せれば、互いに権利を持ち合うなどして収益化したり、大手企業のマーケティングにも還元できると思う」

「10年後には、世界で一番小さくて、世界に一番影響をもたらすデザインとテクノロジーの会社になっていたい。チェーンストアというより、『自分の店』と言える規模がいい」

しばらくはニューヨークで会社設立に奔走する。ユーザーインターフェースやデータ分析の専門家など、新会社に必要なスタッフ集めも始めている。外部との資本関係を持たず、完全な独立体制を整える。

「新しくビジネスを起こす環境として、ニューヨークは過酷だけど楽しい場所。次々と新しい才能が集まってきていて、熱気にあふれているよ。だけど家賃が高くなっちゃって、オフィスを探すのが大変(笑い)」

「10年以上走って来られたことについて、AKQAには感謝と敬意のほかにない。でも、再びゼロから自分で行動を起こせることがとても嬉しい。なんたってほら、僕の名前は『零』だから」

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