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コンセプトは「街のビール屋さん」。大手にはない価値を徹底的に追求する—麦酒企画

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株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
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成熟化したと言われる環境下でも、新たな顧客を創造し、市場を創る経営トップがいます。そして、そこには瞬間的に売れるだけでなく、売れ続けるための全社を挙げた取り組み、さらには仕組み化があります。商品戦略、価格戦略、流通・販路戦略、プロモーション戦略に着目し、売れるためのアイデア、仕組みを解説・紹介していきます。


能村 夏丘(のうむら・かきゅう)
麦酒企画 創設者・代表取締役CEO

1981年、東京都板橋区生まれ。上智大学中退後、セールスプロモーション会社に入社。5年間勤務した後、同社を退職し、麦酒企画を設立。「街のビール屋さん」をコンセプトとしたビール店を都内で6店舗運営する。

“街のビール屋さん”にしかできないこと

西荻窪、荻窪、阿佐ヶ谷、高円寺、中野と、中央線沿線エリアで手づくり・出来立てのビールを手ごろな価格で飲むことができる「麦酒(ビール)工房」を展開している麦酒(ビール)企画。

大手メーカーは、大規模な醸造工場で大量にビールをつくり、小売店や飲食店へと一斉配送するのが一般的だが、ビール工房では、各店舗でビールの仕込みを行う。どの店舗も同じ原材料を使い、同じ工程でつくるが、仕上がりは店舗によって微妙に異なる。その街の住民となり、その街を愛する人が、その街の人のために自家製ビールを提供する——コンセプトは、地元に根付いた「街のビール屋さん」だ。

自家製にこだわったビール店「麦酒工房」を、都内6カ所で展開してする麦酒企画。その街を愛する人が、その街の人のためにビールをつくることが、麦酒企画にしかできない価値になると、代表の能村氏は話す。

「大手メーカーがつくるマス向けのビールと、ここでしか飲めない自家製ビール。どちらでも好きなほうを選ぶことができ、どちらも手軽に手に入れることができる環境は、ビールを飲む人にとって価値になる。大手と同じことをするのではなく、麦酒工房にしかできないビールづくりを貫くことで、お客さまに選択肢を提供したいと思っています」と代表の能村夏丘氏は話す。

以前、セールスプロモーション会社に勤めていた能村氏。営業担当として、大手ビールメーカーの営業社員とともに飲食店をまわる日々の中、次第に「自分がつくったもの」を売りたいと考えるようになったという。「クリエイティブでものを売るのも、もちろん面白いのですが、自分がつくっているものはビールそのものに比べて、なんて実態のないものなんだろう…と感じることがありました」と能村氏は話す。

そうして5年前に5年間務めた会社を退職。営業時代は多忙な日々で、自分が本当は何がしたいのか、何が好きなのかをゆっくり見つめなおす時間もなかった。「自分の価値観を取り戻そう」と半年間は“専業主夫”として家事に没頭、家族のために毎日の食事の用意をするうちに、生命と密接に関わる「食」の世界の魅力を改めて感じるようになったという。

何らかの形で衣食住に関わる事業を興したい——そう考えた能村氏が、最終的に「食」の世界に至ったのは、消去法で残ったからだという。「建築士として、寝食を忘れて図面を引いていた父の姿を思い浮かべると、当時30歳だった自分がそこから追いつくのは難しそうだと思いました。ファッションには無頓着なので『衣』も除外。結局、元々好きだった『食』が残ったのです」と能村氏。

ビジネスプランは「マークシート」で決めた!?

広くて深い「食」の世界で、自分は一体何を仕事にするのか。それを絞り込んでいくのに使ったのも、やはり消去法だったという。まず、考えつく限りの「食」に関わる仕事を、五十音順に書き出していった。すべて書き出したら、「その仕事をしている未来の自分が想像できない」ものを除外していった。当時は、ビールが自分でつくれるものだとは思いもしなかったので、実はビール屋はリストに入っていませんでした」。そんな折、旅先で出会った地ビール職人が、能村氏の運命を大きく変えた。「ビールってつくれるのか!」と衝撃を受けた能村氏は、迷わずビールづくりの道を進むことを決めたという。「自分の手でつくり、自分の手で目の前の人に届ける。自家製ビールづくりは、そんなものづくりの醍醐味を感じられるに違いないと思いました」。

そうして能村氏は、「街のビール屋さん」を開く準備を開始。まずは都内各所の図書館をまわり、「ビール」と名の付くあらゆる書籍を片っ端から読み漁った。ビールにまつわる音楽を聞き、ビールにまつわる映画も観て、ビールを出す飲食店に徹底的に足を運んだ。「会社員時代に営業先として回っていた飲食店にも、今度は『ビールをつくる』人の立場でもう一度足を運びました。かつてはプライベートでも1日3軒はしごするのが当たり前でしたから、行く店は無限にありましたね」。

「続きは100万社第5号本誌をご覧ください」


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