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台湾の人気スタイル「文青」って? 若年層向け販促のカギに

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『販促会議』12月1日号では、2015年のプロモーションを振り返り総特集しました。国内だけでなく、中国・台湾・米国の注目市場をわかせた施策についてもリポートしています。今回は特別編として、台湾の若年層から支持される「文青」にフォーカスします。

台湾の訪日人気は相変わらず高まり続けている。そこで彼らのインサイトをくみとれれば、さらに注目を集められるだろう。そこで、日本のポップカルチャーとも相性の良さそうな台湾のトレンドがある。それが「文青」だ。

「文青は、いまや台湾の20~30歳代の若者の代名詞」と、台湾の事情にくわしいジェイアール東日本企画の鈴木尊喜氏は語る。ファッションだけでなく文学やカフェ、“民宿”(日本でいうペンション)、バザール、ライブハウスなどさまざまな分野に影響を与えているという。

「例えば、毎週日曜日に開催される『シンプル・マーケット』。古着やアンティーク、ハンドメイドの雑貨やアクセサリーが売りに出される。DJがかける音楽を楽しみながら、掘り出し物を探す『文青』たちの姿が多く見られる」(鈴木氏)

こんな店が「文青」好み。「『文青』に関する物事は必ず人気を集め、話題になる」(jeki 鈴木氏)

あるアプリが​​トレンド化のきっかけとなった

「文青相機」を使って写真を加工した例。「没有終點才能探到永遠」は「ずっと永遠を探してる」といった内容。

「文青」とは「文芸青年」の略称で、そもそもの由来は日本語だという。英語では「Hipster」に近い。「マイナーな音楽や映画を好み、黒ぶちメガネをかけ、やせ型でスキニーパンツを履いて、自分の世界に生きていること」が特徴。台湾では「村上春樹が好き」というのも加わるそうだ。

このトレンドが広まったきっかけのひとつは、あるスマートフォンアプリだった。「文青相機(文青カメラ)」だ。台湾の制作会社ブレーメン・クリエイティブが2012年に配信を始めた。スマホで撮った写真を簡単に加工でき、さらに詩的な文章を自動で添えられる機能がある。

企画制作に携わった杜孟倉氏は、「写真に情緒的なフレーズを添えてソーシャルメディアに投稿する……一部の情報発信力の高い人たちの間で、そんなことが流行りはじめていた」と話す。「同じことをしてみたい、でも上手くできない…そんな気持ちの人は多いはずだ。そこで、あらかじめ詩的な文章をデータベースとして搭載し、簡単にキャプションを記せるようにすれば、より多くの人が自己表現を楽しめるツールになると考えた」(同)

「個人主義」の表れとして定着?

「文青カメラは毎月、新規ユーザーが増え、購入額も堅調だ」と杜氏は語る。アプリは、スマホの機種や携帯キャリアごとに異なるバージョンや追加機能を用意しており、それが「大衆と同じ」ことを好まない「文青」の支持を集めるのに一役買っている。

「ソーシャルメディアで、人々は情報発信力を多かれ少なかれ持つことになったが、それだけ表現物が必要にもなった。クリエイティブに自己表現するのはもはや若者文化のひとつで、『文青カメラ』は、このトレンドを反映していると思う」(杜氏)。

jekiの鈴木氏は、「文青」トレンドが台湾人に受けるのは3つの理由があると話す。「ひとつは『プチおしゃれ』。台湾の若者世代は特段、金銭的に余裕があるわけではないので、低価格でもおしゃれなイメージのある『文青』が受け入れられたのではないか。

台湾の方々は、流行りものが好きという性質もある。多くの『文青』風のお店や旅館が生まれて社会的なブームになった結果、さらに多くの人が引きつけられた。そして、やはりスマホとソーシャルメディア。どこからでも『文青』風の写真を投稿できるし、人気の写真は、撮影場所を見るために若者が集まることがある」

台湾の消費者は比較的、熱しやすく冷めやすいとも言われるが、「文青」ブームは長続きしている。「単なるトレンドというよりも、『個人主義』や『市民運動』のように民主化後に新たに生まれてきた世代の社会現象ととらえていいかもしれない」(鈴木氏)