3週間の密着取材で得られたのは「たったの一言」 本田圭佑選手の取材の舞台裏

サッカー日本代表の本田圭佑選手をはじめ、数々のビッグプレイヤーを取材するスポーツライターの木崎伸也さん。本田選手を取材した際の知られざるエピソードが明かされる。

ドイツで考えさせられたジャーナリズム

木崎伸也 氏

もともと野球好きだったのですが、あるとき、1996年のアトランタ・オリンピックの記事を大学の図書館で読んだんです。スポーツライターの金子達仁さんが『Number』で書いていた「叫び」と「断層」という記事でした。「マイアミの奇跡」の舞台裏で起こっていたチーム内の軋轢が描かれていて、その記事を読んだことが、サッカーについて書く仕事に興味を持ったきっかけですね。

当時は大学で物理の勉強をしていて、現在のようなライターになることは、まるで考えていませんでした。転機になったのは、大学院在籍中に金子さんが主催する「スポーツライター養成講座・金子塾」に参加したこと。そこでサッカーを書くことにハマり、2002年の日韓ワールドカップ前、金子さんが、前回大会の開催地フランスから日本代表の対戦国であるベルギー、チュニジア、ロシアをキャンピングカーでまわって日本を目指す旅を企画し、その仕切りを任されました。

そして旅の最後の夜、お前には世話になったから一つだけ願いごとを叶えてやると、金子さんに言われたんです。次の言葉を待っていたら「(2006年W杯の開催地である)ドイツに行ってみろよ。そこに行けば仕事はあるはずだし、アパート代とか語学学校の費用は払ってやるから」と言われ、「行きます」と。

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