【前回記事】「SMAP生会見がきわめてソーシャルテレビ的現象だった件(加えて動画配信どうなのよ)」はこちら
テレビは見られていないけど、テレビは見られている
“若者のテレビ離れ”の話はすでに何度も語られてきました。もう、ちょっと飽きてきましたよね。私もこの連載で何度か「テレビのおばさん化」を訴えましたが、自分でも飽きてきました。もうわかったよ、おれ。言わなくていいよ、おれ。
一方で、AdverTimesの12月の記事で大学生が座談会形式でテレビ視聴について語っていたのがあって面白かったです。
→普通の大学生に聞いてみました。「普段、テレビ観てますか?」
大学生がいかにテレビを見ていないか。よーくわかりました。中でも「逆に一周回って、テレビを観ている奴のほうが尖っているやつのような気がしてきた」という発言には、そこまで言われないといけないのかテレビは、と苦笑いするしかありません。
そう、テレビは見られてない。やっぱり若者のテレビ離れは今そこにあるのですね。飽きたと言いつつ、また言っちゃってますが。
一方、先日ある若者と話していた時のこと。彼はご多分に漏れずテレビを持っていないと言うのですね。いまさら珍しくもないですが、じゃあテレビ見てないんだね、と念を押すつもりで言ってみました。ところが彼はこう言うのです。
「でも、テレビ観てます!『アメトーーク!』大好きです!」
「え?でもテレビ持ってないんでしょ?」
「テレビ持ってないけどテレビ観てます!」
と言いながら彼は、スマートフォンを勢いよく差し出すではありませんか。ふしぎな会話です。スマートフォンを差し出しながら「テレビ観てます!」ですからね。つまり、彼にとってはスマートフォンがテレビなのです。
もちろんYouTubeに誰かが違法にアップロードした映像を観ているのでしょう。彼には遠藤憲一さん出演の「違法配信撲滅CM」は届いてないのでしょうか?届くはずないですよね。テレビ放送は見てないですから。あのCMは見せる場所を考えないと。
でもここからわかるのは、テレビは見られていないけど、テレビは見られている、ということです。つまり若者たちは、テレビ放送をテレビ受像機でリアルタイムに視聴することからは離れちゃったけど、テレビ番組をネット経由で好きな時間に視聴することは、けっこうあるということです。
似たことを前にも書きましたが、これは、テレビ番組がつまらなくなった、というのとはちょっと違う。“放送”の形態が時代に合わなくなり、若者の生活感覚とズレてしまった。でもテレビ番組が丸きりつまらないから見なくなったわけではない、ということです。当たり前ですけど、面白いテレビ番組は、若者にとっても面白いのですね。だって面白いんだから。
「ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜」バックナンバー
- 伝えたいことが見つかれば、それがブランドジャーナリズム(2022/5/24)
- インターネットで「メディア」は生き残れるのか? JICDAQに取材して考えた(2021/4/30)
- 「楽しくなければテレビじゃない」時代はもう終わっている。(2021/3/25)
- YouTubeは「第6のテレビ局」になろうとしている。(2021/2/16)
- 2020年、日本の広告業界は谷口マサトを喪った。(2020/12/25)
- ネット広告はテレビ広告を超えたけど、ネットメディアはマスメディアを超えたのか?(2020/7/27)
- 広告のいちばん重要な機能は「心を動かすこと」です。(2020/3/13)
- 逆襲するテレビ〜視聴率は世帯から個人へ、量から質へ(2019/3/08)
新着CM
-
広報
世界三大刃物産地・岐阜県関市、「るろうに剣心」完全再現の真剣を展示
-
販売促進
広告クリエイターが語る これからの販促の必須科目は「客観力」
-
AD
クロス・マーケティンググループ
クロス・マーケティンググループ、マーケティングDXを推進する人材を募集
-
人事・人物
カゴメ、グローバルコンシューマー事業部長ほか(23年3月28日付、4月1日付)
-
AD
広告ビジネス・メディア
BtoB企業の新たな選択肢「Microsoft 広告」の有用性とは
-
人事・人物
TOYO TIRE、Gマーケティング部長ほか(23年3月29日、4月1日付)
-
広告ビジネス・メディア
Facebook Japanがパーソナライズ広告の仕組みを疑似体験するイベントを...
-
クリエイティブ
ヨルシカが楽曲など担当 生田絵梨花出演、サッポロビールの箱根駅伝CM
-
AD
特集
BOVA(Brain Online Video Award)10周年