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コラム

戦略PR視点で、大学・地方・アートを考える

【最終講義】先生!山形をブランド化するってどういうことですか?

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昨年4月から山形市にある東北芸術大学企画構想学科で教鞭を執りはじめてから、早いもので1年が経過する。大学の講義期間中は、毎週山形を訪れているが、東京でのマーケティングやブランディングや宣伝・広報に関する感覚とは少し「勝手が違うぞ」と思うこともしばしばある。つくづく我々は、東京中心の頭でしかマーケティング、特にマーケティング施策について考えることができなくなっていたと反省することも多い。

2月には東京にて「東北芸術工科大学 卒業・修了展 東京展」が開かれた。

ある「串揚げ屋さん」の話から

ある夜のことだ。山形市の繁華街にある「串揚げ」の店に入った。店長のお任せで料理をお願いしたところ、山形ならではの食材を数多く取り入れられていて、出される串揚げ料理はどれも美味しい。一品一品の独創性も高い。店長や店員さんのサービスもとても良い。仮に東京でこのクラスのお店であれば、かなりお値段は張るのだろう。だが、東京の都心部の感覚からすると6割~7割くらいのお値段だった。

と、ここまではよくある話なのだが、さらに驚いたことがある。

ネットでのお店のレビューが……

後からネットでこの店を調べてみた。すると、そもそもお店に関する情報自体があまり掲載されていない。レビューサイトの口コミ数も少ない。点数も私の肌感ほどには高くない。

これは山形に限らず、地方都市全般に言えることかもしれないのが、飲食店のレビューサイトなどでのネット上の「評判(口コミ)」と、地元の人たちのナマの「口コミ」とが必ずしも一致しないことがこれまでにもあった。ネット上で評価が高い店は比較的駅に近く、観光客や通勤・通学の若い会社員や学生が日常利用する店(例えばファーストフードチェーン店やホテル内のカフェ)であることも多い。

首都圏などでは、店の評判をネットのレビューサービスで行く前に調べ、「一見客」として友人などと来店する新規の顧客や観光客の割合が高いのだろうか。実際に何度も足を運ぶ地元リピーター客が多いとされる地方都市の飲食店との「勝手の違い」なのだろうか?

次ページ 「“東京流”のマーケティングは通じない」へ続く