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コラム

戦略PR視点で、大学・地方・アートを考える

【最終講義】先生!山形をブランド化するってどういうことですか?

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山形県民が「知らない」山形の魅力は何か?

さらに、これは最近分かってきたことなのだが、山形の人たち自身が、「山形のこと」はよく知っていても、「山形ブランドの魅力」についてはあまり語らない(あるいは気がついていない)こともある。むしろ県外から通う私の方が、「山形のこと」は知らないが「山形ブランドの魅力」について直感的にではあるが気がついていることがある。

東京などの首都圏であれば、平均的に品質が高く、価格が手頃であれば、他の競合と比較した時に積極的に「選択」を行う理由に十分になる。ただこれは、あくまで他の多くのブランドやサービスと「比較する」「選択する」する際に魅力を感じることができるからだ。

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だが山形県内にいると、他県のブランドやサービスと、山形のものとを、比較・選択という状況はあまりない。

これは山形以外にも言えることかもしれないが、「地元ブランド」を考える時にどうしても「東京ブランド」と無意識に比較してしまってはいないだろうか。すると「山形ブランド」についての話をしていても「東京にあって山形にないもの」の話に終始してしまうことがある。

また、隣接する東北や北陸の他県との比較を意識してしまうケースもある。もちろん県が異なれば地域性も異なるが、とはいえ隣接する県同士は「強み」「弱み」などが似ていることが多い。隣接する他県との比較の中からは、地元の持っている「大きな魅力」「独自性」に目が向きにくいことがある。

「山形ブランド」を打ち出すためには、むしろ他県を「排除」する(他県のモノは選択させないという意味で)ことが大切だ。「山形でしか体験できないコト」「山形にしかないないモノ」をどう打ち出していくか。もっとも、実際には「山形でしか…」「山形にしか…」を追求しすぎては課題の敷居はどんどん高くなってしまう。なので、必ずしもそうでなくても構わない。大切なのは、どうやって「ウリ」(強み)と思われるような「コト・モノ」を世の中に「打ち出していくか」という手法の独自性が重要となる(Unique Selling Proposition「独自の販売条件」)。

すでに、山形には、良いモノ・良い場所、魅力的な観光資源は十分ある。まだまだ「知られていない魅力」がたくさんあるということは、これはむしろ「強み」でもある。

山形の学生をはじめとする多くの若い世代の人達には、東京以外の他の魅力的な地域や都市、あるいは海外の街などにも多く触れてもらい、膨大な体験や経験を通じて、山形に住む自分たちならではの「山形のウリ」と「山形の魅力の打ち出し方」を、今一度考えてもらいたい。地元山形の在住者でさえも、まだ発見していないような新しい魅力、地元の人たちが再発見する「山形の魅力」が、全国の人たちにとっても新しい山形の魅力となるのだろう。