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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

「AbemaTV」600万DL達成の鍵は?メディアにメディアが必要な時代

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【前回】「動画広告はうまく置かないとユーザーを不愉快にさせる。そこをクリアしたC CHANNELの発明」はこちら

テレビ視聴に新聞が重要な役割を果たしていた

今週、いよいよ私の新著が発売されました。『拡張するテレビ 広告と動画とコンテンツビジネスの未来』という欲張ったタイトルで、内容も欲張っています。テレビがいまこう変わりつつあるので、広告や映像コンテンツはどうなるのか、見出そうという趣旨です。

本が出るので、いつもは月半ばのこの連載を、前倒しして書けと人使いの荒い宣伝会議さんが言うので、書きます。ええ、書きますとも、書きますよ。

で、どうしてもAbemaTVの話になっちゃいます。600万ダウンロードですって。7月25日にリリースが出てました。・・・あれ?ついこないだ500万ダウンロードって言ってませんでした?そうです、7月11日に500万達成したので、たった二週間で100万増えたわけですね。勢いがあるってすごいです。

この急増の要因ははっきりしています。7月16日土曜日の新聞にこんな折り込み広告が入っていました。観音開きの構成で、開くとこんな風に「番組表」になっていたのです。番組表!まるでテレビだ!

テレビにとって新聞のテレビ欄は重要でした。毎朝開いて、今晩何やるんだっけ?と確認したものです。いま人びとが新聞に接触しなくなっているのでテレビ欄も見なくなっているでしょう。テレビ視聴の低下に実はこれが大きく作用していると私は思っています。

その逆を行くように、スマートフォンでテレビをやるんだと言ってるAbemaTVだからこそ、番組表を配布したのです。1000万部が届いたそうですから、かなり効果があったんじゃないでしょうか。

ここね、けっこう大事なポイントが潜んでいて、テレビ視聴にとって新聞というメディアが重要な役割を果たしていたわけですよ。そこに気づいたからAbemaTVも新聞折り込みで番組表を配った。

テレビというメディアを見てもらうには、別のメディアが必要なんです。

テレビなんて目の前にあればスイッチを入れてすぐに見ることができるけれども、何時から何を放送しているかを伝えなければ不十分なんですよね。日常的に見てもらうためには日常的にお知らせしないといけないのです。

AbemaTVはもうひとつ、AbemaTimesというのもやっています。これもメディアなんです。ネット上で読んでもらうためのメディアです。

あれ?そんなの必要なの?AbemaTVはネット上でのテレビなんでしょ?すぐ見られるわけでしょ?そういうスマートフォン上のメディアを見てもらうのに、スマートフォン上に別のメディアが必要なの?いらないんじゃないの?言いたくもなりますね。

AbemaTimesを見てください。

ざっと見てもらうとわかるのですが、ここに並ぶ記事は、AbemaTVの番組の予告ではないんです。“告知”ではないんですね。逆に、主に放送された内容から記事にしているんです。

これもなかなか理解しがたいでしょうか。内容を次々に記事にしたら、AbemaTVを見てもらえなくなりはしないか?

でもね、いまテレビ番組についての記事がネット上にあふれてますよね。「○○が△△について□□と暴露!」とかそういうやつ。その典型がフジテレビ『ワイドナショー』での松本人志の発言です。毎週記事になっています。書いてもらうために収録に記者を読んでいるという噂もあります。

どうしてそんなことをするのか?見たくなるからです。実際そうではないでしょうか?「松本人志が○○○と批判した」という記事を見て、ああ見ればよかった、次回の『ワイドナショー』は見逃さないぞ。そんな風に思った人は多いはずです。

AbemaTimesはこれに似た現象を自ら作っているわけです。そしてそんな記事を、AbemaTVのFacebookを通してどんどん配信しています。他のメディアに記事を書いてもらって見たくさせる効果を、自分のメディアでやっているわけです。

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