ヤングカンヌPR部門を分析 — 王道のメッセージが選出される傾向

『広報会議』2016年9月号では井口理氏(電通パブリックリレーションズ コミュニケーションデザイン局 局長)がカンヌライオンズ2016の受賞作を分析した。今回は28歳以下の2人で各国代表チームを組んで、カンヌ現地で与えられた課題に24時間内で企画提出するという「ヤングカンヌ」PR部門について解説する。

国内代表選考には230組もの応募が

PRへの関心は広告・PR双方の業界の若手において高い。ヤングカンヌのPR部門は2014年にスタートし、2015年から日本パブリックリレーションズ協会の協力のもと、日本国内で代表選考会を行っている。

PRパーソンのみならず、クリエイティブやプロモーションをメインフィールドにする若手もこぞってヤングカンヌの国内代表選考に応募しており、2015年で128組、今年は230組を数えた(※2人1組での応募が規定)。

今年の一次審査を通過したのは24チームで、カンヌ本戦のショートリストの選出割合に近いとも言える。すなわち全エントリーの約10%というところだ。

国内代表選考では一次審査を通過した彼らに対して、二次審査として現地で実際に行われる5分ずつのプレゼン・質疑応答を行った。もちろん英語でだ。本戦でやらねばならないのにこの英語プレゼンにナーバスになり、PRカテゴリへの応募を躊躇するチームもいると漏れ聞くが、我々国内審査団もネイティブなわけではない。

私がカンヌライオンズのPR部門審査員(2012年)として参加したときも、海外と異なる日本の状況を英語で説明する際には非常に苦労した。しかし、スムーズではなくてもなんとかそれを伝えようとするときに「火事場の馬鹿力」が発揮されるわけで、ぜひその精神的ハードルを乗り越えて応募してもらいたいものである。

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