世界中で拡大する新たな中流層が消費市場をけん引――米ニューヨークに本社を置き、日本を含めグローバルに展開する広告会社、オグルヴィ・アンド・メイザーのジョン・サイファートCEOは指摘する。このほど来日した同氏にグローバル市場の見方や広告ビジネスについて聞いた。
ローカルブランドが台頭
――グローバルの視座で生活者や消費市場を捉えるにあたって、注目している点は。
「ミレニアル世代」(1980年代半ばから2000年代初頭に生まれた世代)の目を通して世界を見ることです。彼ら、彼女らは幼い頃から携帯端末やソーシャルメディアに親しみ、世界と容易につながってきた初めての世代です。
一方で、この世代は自分たちの地元、つまりローカルへの関心も高い傾向にあります。他の世代と比べ、地元にとどまる平均年数が長いのです。グローバルとローカルのバランスの取れた、これまでにない世代と言えます。
グローバルに展開するクライアントに私がアドバイスするのは、それぞれの地域で共感されるためのコミュニケーションを怠ってはならないということです。ローカルブランドがかつてないほど力をつけてきています。それは、世界で標準化された製品やブランドというだけでは必ずしもミレニアル世代の心を捉えきれていないということを意味します。
――ミレニアル世代は、特に米国でボリュームゾーンになりつつあるようですね。
今後20年~30年、ますます力をつけていくと考えています。米大統領選が近づいていますが、政治家にとっても真剣に考えなければならない存在と言えるでしょう。もちろんマーケティングの世界もそうです。公平性を重視するこの世代は、我々の世代とは考え方が明らかに異なり、ある意味で成熟しているとも言えます。