企業のEC運用や、それに関わる人材育成、およびブランディング支援などを手がけるフラクタと宣伝会議が共催する「ブランディングスクール」の第3回が10月に開催された。ブランディングの基本や指標の設定方法など、第1回(5月)、第2回(8月)で学んだことを踏まえて、具体的な企業事例に落とし込むことが今回の目標だ。過去2回に引き続き、ECを通じたブランディングに意欲的な企業の責任者・担当者が受講した。
ブランディングを「理解」することと「実行」することの間には、大きな壁がある。折に触れて「その施策は、顧客との信頼関係構築につながるか」に立ち戻ることが大切。
講師
・河野貴伸氏 ブランディングのあらゆるサービス・テクノロジーを提供するFRACTAを設立。EC-CUBEエバンジェリスト
・松岡芳美氏 企業のブランド構築、リブランディングを専門にコンサルティング・支援を行うブランディング・ディレクター、アートディレクター。
過去2回の勉強会では、「ブランディングの本質とは、消費者との信頼構築である」こと、そして信頼関係を構築・維持するために必要な「ブランディングの指標の設定と、それに基づく正しい評価」の方法を学んできた。
最終回となる第3回では、実際に行われた成功例・失敗例を概観しながら、これまでの学びを振り返りつつ、ブランド担当者が身に付けておきたい実践的なテクニックを学んだ。
「現在」の顧客像を正確に把握する
河野氏が最初に紹介したのは、ある雑貨ブランドXのリブランディングプロジェクトだ。そのブランドは、コアファンは存在するものの、ブランド自体の立ち位置が曖昧であることに課題を抱えていた。そこで、ブランドイメージをより洗練されたものへと刷新し、商品ラインアップも再編成した。ところが結果は、来店者数・売上ともにダウン。河野氏は「要因は、ターゲット及びペルソナ設定の不完全さにあります」と指摘しながら、同ブランドの顧客を利用金額や頻度によってマッピングし、「優良」「準優良」「成長株」「離反」のランク付けを行ったユーザー分布グラフを提示した。これに基づいて分析したところ、ブランドXのユーザーは「成長株」が圧倒的に高い割合を占めていたという。
