広告効果はクリックだけでは測れない、マーケターがカスタマージャーニーに寄り添う施策を成功させるためには? — AdRollインタビュー

デジタルマーケティングの世界で、プログラマティック広告の強力な牽引役をつとめてきたAdRoll社(本社 米国カリフォルニア州サンフランシスコ CEO兼創設者 アーロン・ベル 日本法人社長 香村竜一郎)。2015年に日本にも上陸し、すでに1000社以上の広告主に活用されるなど、日本市場でも急成長している。同社の創業メンバーであり、代表取締役兼CMOのアダム・バーグ氏の来日に伴い、現代のマーケターが抱えている課題から、今後のデジタルマーケティングで成果をあげるために必要な考え方までを聞いた。

AdRoll 代表取締役兼CMO アダム・バーグ氏

デジタルマーケティングは「データこそすべて」

—アドテクノロジーに黎明期から関わってきたアダム・バーグさんから見て、現代のマーケターが抱えている課題とは何でしょうか?

カスタマージャーニーにおいて、広告がどこで効力を発揮したのか、正確に把握することが難しい点ではないでしょうか。最終的に商品が購入されたとして、それがどのタイミングでどのような広告に接触したことによって起きたのか、理解しているマーケターはまだまだ少ないように思います。

例えば、デジタル広告の効果測定において、最も重視されている指標はいまだに「クリック」です。しかし、デジタル広告が生まれた15年前に広告効果を測る指標として初めて登場したのがクリックであり、現在はその考え方自体が古いものになっています。

—どのように古くなっているのでしょうか。

我々の調査では、クリックの85%を担っているのはインターネットユーザーのわずか8%に過ぎないことが分かっています。つまり、クリックを重視している限り、ネットユーザーの8%程度にしか影響を及ぼせないのです。それでは、広告の効果を正しく理解できません。残りの92%のネットユーザーにアクセスするためにも、クリック以外の指標を見ることが重要になります。

 —それは、どのような指標でしょうか。

キャンペーンの目的によります。デジタル広告には、多くの指標が関わってきますが、たとえばカスタマージャーニーを分解して購買意欲や情報への深度などから購買ファネルへ当てはめた場合、最下部の「購入」の段階では、やはりクリックは有効な指標になるでしょう。しかし、ファネルの上部にある「認知」を狙う領域では、動画の再生回数やWebサイトにおける滞在時間、または広告を見た後にどのような検索をしたのかといったデータが重要になります。

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