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「CES2017」現地レポート③ — C SPACEに注目せよ。

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【前回の記事】「「CES2017」現地レポート②-5Gの時代がやってくる」はこちら

世界最大規模を誇るテクノロジーの祭典、CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)が、米国・ラスベガスで始まりました。すでに、多くのメディアから発信されるCESのニュースに触れた方も多いのではないでしょうか。今年で50周年を迎えたCESは、3800社以上の出展、世界150カ国以上の国から16万5000人以上の参加を見込む巨大なカンファレンスです。今年も、“アドタイ”な視点で現地から森直樹がレポートします。

ラスベガスの街全体が会場となるCESの中でも、他の会場と一線を画すエリアがあります。それは、Ariaホテルに設置されているC Space。

C Spaceは、広告、コンテンツ、エンタテインメント、マーケティングコミュニティのための場とされており、広告主、広告会社、メディア、マーケティングテクノロジー関係の方が集う場所となっています。

ここでは、テクノロジーが広告コミュニケーションさらにマーケティングにどのような影響を与えるのか?をテーマに、魅力的なセミナーが多く開催され、マーケターの方がCESへ参加するのならば、必ずチェックしたほうが良い場所だと筆者は考えています。

3回目のレポートは、CES C Spaceの講演からピックアップしてお届けします。

米国最先端のCDOやCMOの考えに触れる

C Spaceでは、米国大企業のCDO(Chief Digital Officer)やCMO(Chief Marketing Officer)がマーケティング活動において、デジタルトランスフォーメーション、テクノロジー、オープンイノベーションとどのように向き合っているか、その考えに触れることができます。今年はアメリカン航空、JPモルガン、ネスレ、ダンキンドーナツ、VISAなどの、CDOやCMOによるセッションが開催されました。

デジタルトランスフォーメーション・AI・そしてスタートアップとの連携

C Spaceで、CDOやCMOが語った今年の関心事項は何か? 大きなテーマとしては「顧客体験のデジタルトランスフォーメーション」があります。ここでは、いくつかの話題をピックアップしていきたいと思います。

1.ダンキンドーナツ 
Scott Hudler Chief Digital Officer at Dunkin’ Donuts

企業が持つ多くの顧客情報を活用して、様々な事が簡単にできるAIボタンに関心。「会話や注文、質問ができるAIのボタンをつくることが必要と考える。そのため、私たちは簡単なシステムに投資し、顧客を様々な方法でつなぐことができる全てのチャネル(Facebook messengersやSMS等)を統合したいと考えている」とScott氏。また、デジタル体験は、顧客がプロセス(例えば、朝の長い注文の行列から開放するなど)に役立つとも。

2.ネスレ
Michael Chrisment Global Head of Integrated Marketing at Nestle

ネスレは、人に語りかける「発信」から「対話」へとシフトしている。そのために、分散型モデルで世界中のチームとスタッフに投資しているという。またMichael氏は、「ネスレは老舗企業ですが、変わりたいと考えている。そのために、デジタル・アクセラレーション・プログラムを開始した。この取り組みにより、ネスレの文化は大きく変わり、社内にデジタル改革が根付いた。世このプログラムを実施してしばらく経つが、今のところ成功している。ネスレの文化の変化をもたらし、生産力が向上している」とも話した。

3.VISA  
Shiv Singh Senior Vice President Innovation & Strategic Partnerships at VISA

VISAは、スタートアップを活用するイノベーションプログラムを立ち上げて3年になる。これはEverywhere Initiativeというプログラムで、VISA自らがスタートアップを訪ね、条件を提示し、取り組みに誘うという能動的なアクションを取っているようだ。

Shiv氏は「コンペティションを通じて様々な国で、3年以上にわたり1000のスタートアップと接点とを持ち、勝者5社を選んだ。このプログラムで非常に面白かったのは、スタートアップを検討するとき、我々自身が変わらなければならなかったということだ。組織としてAPIによるネットワークをオープンにする決断をした。スタッフにAPIで、今までにないすごいことをしてほしいと言えるのだ。こうやって違うビジネスユニットにプログラムを広げている。これが我々のスタートアップに対するひとつのやり方だ。 」と、APIによるエコシステム構築の重要性を強調している。

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森直樹(もりなおき)
電通 CDC エクスペリエンス・デザイン部長 クリエーティブディレクター

光光学機器のマーケティング、市場調査会社、ネット系ベンチャーなど経て2009年電通入社。デジタル&テクノロジーを活用したソリューション開発に従事し、AR(拡張現実)アプリ「SCAN IT!」、イベントとデジタルを融合する「Social_Box」、「SOCIAL_ MARATHON」をプロデュース。さらにデジタル&テクノロジーによる事業およびイノベーション支援を手がける。最近は、経営や事業戦略に基づくUI・UXデザインや、ネット事業モデルによる事業革新の支援プロジェクトに取り組む。 日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会の幹事(モバイル委員長)。著書に『モバイルシフト』(アスキー・メディアワークス、共著)など。ADFEST (INTERACTIVE Silver他)、Spikes Asia (PR グランプリ)、グッドデザイン賞など受賞。ad:tech Tokyo 公式スピーカー他、講演多数。