卒業制作~課題制作~
課題は「ある組合の農畜産物の消費拡大に向けたコピー」でした。担当者の方が課題の詳細やこれまでの取り組み・ターゲット層・問題点をプレゼンした後、受講生は活発に質問し、前述の「広告主の人と目的が共有すること」を目指しました。
その目的とは、「消費者がその商品を買う強い動機を見つけること」でした。消費者の心を動かす明確な理由・価値をコピーにすること、それがオリエンテーションで浮かび上がった広告の目的です。
そこからは日々、空き時間を見つけて課題制作に取り組みました。と書くと日々多忙なようですが、そこまで忙しくないです。カッコつけてすみません。
自信があるコピーを数本書けたところで、人に見せて意見を聞いてみました。
すると皆が共通して良いと言ったのは1本だけで、他のコピーについては意見がバラバラで選択に困りました(提出するのは3本です)。最終的には自分が選べばいいわけですが、色々言われた結果、どんぐりの背比べに見えてきて、結局3本中2本は切り口が同じものを提出してしまいました。愚かですねー。
卒業制作~講評~
審査結果発表の日。その日は名前を呼ばれた受講生が3本の中で一番気に入っていたコピーとその理由を語り、それを受けて安谷さんが講評するという流れで進みました。受講生は1人ずつ皆の前で講評されるので、教室内はいつもより張り詰めた空気でした。
僕も自分なりに気に入ったコピーとその理由を喋ったのですが、安谷さんにはコピーに具体性が乏しく、人を動かす力は全然ないと言われてしまいました(実際はもっとソフトな言い方ですよ)。
全ての講評が終わると、優秀作が10本発表されました。1位のコピーは誰とも被らず、それでいて明確な価値を示していてスゴかったです。それが出てきた途端、ビックリしました。何か違う水準で考えているな、と思わされました。
なお、3位のコピーと僕のコピーの1つは切り口がほぼ一緒でした(ちなみに1位のコピー書いた人が3位のコピーも書いていました。凄すぎる)。ただ、自分のコピーは広告主目線で何か偉そうでした。思いついたフレーズに酔っている感じがしちゃいました。一方、その方のコピーは消費者目線の言い回しで、腹にストンと落ちました。要は上手いこと言おうとしている感じが全くないのです。脱帽です!
という訳で、僕は卒業制作で半年間学んだことを活かせず、残念な結果で終えてしまいました。恥ずかしい…。
しかしその後、卒業制作の時の反省を生かす機会がありました。昨年末、芸人がキャッチコピーとラジオCMを書き、プロに審査していただくという内容のライブをやったのです。審査員はボーダーの横澤宏一郎さんです。
その時の課題で「これから一人暮らしを始める人に向けて、電子レンジが必須アイテムだと思わせるキャッチコピー」というものがありました。これに取り組む際は、書いたコピーの感想を聞かずに、後輩の中で電子レンジを持っていない人を探しだし、なぜ利用しないのかを聞きました。幸運なことに、電子レンジを壊れたまま放置しているズボラな男と実家から持ってきたけど段ボールからまだ開けてない奇特な女の2人を見つけられました。その2人に色々聞き、彼らを動かすコピーを考えた結果・・・良い結果を生みました。
どうやら僕は書いたコピーを人に見せて意見を聞くと、ぶれちゃう人間なので、これからは商品について聞くことにします。すると手綱を最後まで握れます。そして、この方法だとネットに挙がっているアンケートでは分からない、ピンポイントの質問や深掘りができるので問題を明瞭に把握できます。あと商品を介して自分と価値観が全然違う人の意見が聞けて、面白いです。我こそ、ぶれちゃう人間だという方!オススメの方法です!
「コピーライター養成講座 講師・卒業生が語る ある若手広告人の日常」バックナンバー
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