コンテンツの供給過剰が価値下落を生む?メディアの付加価値を高める5つのポイント

付加価値をもたらす5つの視点

では、そもそも差別的な価値、需給バランス上の価値に乏しい“水”はどのようにして、産業としての活性化を築き得ているのか。MediaPostの記事は以下のように述べている。

メディア企業が、ミネラルウォーター販売ビジネスのリードに従うなら、より良いアプローチに出会えるだろう。蛇口からの水が「ペリエ」に変身したように、普通の広告がリッチなメディアへと移行していく。在庫品目に変わりはないが、もっと親しみやクールさがあるように——パッケージは変化していく。ミネラルウォーター販売ビジネスが、消費者に“苦労して稼いだカネを水(のようなもの)に使うのか”と考えさせまいとしてきた手法を、メディア企業は学ぶことができるだろう。

付加価値や差別性に乏しい水道水(最近では、国内の自治体によっては水の品質をPRするようにしているようだが)に対して、商品性の高いミネラルウォーターにいくつかの特徴が備わる。記事が指摘する5つのポイントを以下に要約しておこう。

  1. 不純物を取り去る——ミネラルウォーターを売る最初の大きなマーケティング策は有害な不純物を取り除くことだった。同じように、メディア企業は、取り散らかした雑物を読者の視界から取り除き、コンテンツに適合した広告を配置することで、パフォーマンスを向上できるはずだ
  2. パッケージングする——ボトルデザインは精巧に美しくデザインされ芸術品のような造形で、消費者の注意や想像力をつかもうと競り合っている。同じように広告もまた読者の感性を刺激しつかもうとする。そのパッケージ上の重要要素は、見かけ、音、動きなどを動員していくことだ。
  3. カスタマイズする——ライフスタイルやテイストに合わせるべくミネラルウォーターの品ぞろえはバラエティに富んだものとなっている。飲料メーカーは、各種属性上のターゲットに向けて製品を有しているように、メディア企業もどんなタイプの読者に対してもターゲットできるようにすることで、在庫の価値を引き上げなければならない。
  4. 影響を与える——著名人が特定のブランド商品(飲料水)を推奨すれば、人々はまるで自分が著名人であるかのようにその商品を推したがる。メディアは、ソーシャルメディアに対し自社のコンテンツと広告商品を共有できる機能を連携させ影響力の連鎖の中で注目を得るようにする。
  5. ストーリーを伝える——数多くのミネラルウォーターが、消費者にうんちくなどを含めたストーリーを伝えようとしている。メディアも、編集部と連携作業する中で、読者とエンゲージしたコンテンツを適切なブランド(を持つ広告主)がスポンサーしやすいようにしていかなければならない。

これらはベーシックな努力だと、記事は結論づけている。型どおりにこれを遂行すれば見返りが保証されるわけではないとも。そのためにも、「水に4ドル払うことについて考えてみるべきだ」との結語は示唆的だろう。

一見すると無価値にも見える素材に価値を与えるためのアプローチは、もっと多様であっていいはずだ。もともと魂を込めて創り上げた価値あるコンテンツであれば、その正統な意義を読者や広告主へと訴求するアプローチもまた、必ずあるはずだというのだ。

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藤村 厚夫(スマートニュース)
藤村 厚夫(スマートニュース)

90年代を、アスキー(当時)で書籍および雑誌編集者、および日本アイ・ビー・エムでコラボレーションソフトウェアのマーケティング責任者として過ごす。

2000年に技術者向けオンラインメディア「@IT」を立ち上げるべく、アットマーク・アイティを創業。2005年に合併を通じてアイティメディアの代表取締役会長として、2000年代をデジタルメディアの経営者として過ごす。

2011年に同社退任以後は、モバイルテクノロジーを軸とするデジタルメディア基盤技術と新たなメディアビジネスのあり方を模索中。2013年より現職にて「SmartNews(スマートニュース)」のメディア事業開発を担当。

藤村 厚夫(スマートニュース)

90年代を、アスキー(当時)で書籍および雑誌編集者、および日本アイ・ビー・エムでコラボレーションソフトウェアのマーケティング責任者として過ごす。

2000年に技術者向けオンラインメディア「@IT」を立ち上げるべく、アットマーク・アイティを創業。2005年に合併を通じてアイティメディアの代表取締役会長として、2000年代をデジタルメディアの経営者として過ごす。

2011年に同社退任以後は、モバイルテクノロジーを軸とするデジタルメディア基盤技術と新たなメディアビジネスのあり方を模索中。2013年より現職にて「SmartNews(スマートニュース)」のメディア事業開発を担当。

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