未来から振り返る、「目的」を再解釈しなおす作業

音部大輔(資生堂ジャパン株式会社 執行役員)

問題が明確になったら解決は近い

前回までに、戦略とは「目的達成のために資源利用の指針」であると定義付け、戦略があると何がいいのかという議論をし、いい「目的」を設定する方法について理解を深めてきました。

参考:
第1回:「戦略が重要」と口では言うけれど、実は本当に「戦略」を考えていることは少ない
第2回:戦略思考を身につけた「あなた」が実現できること
第3回:「市場でリーダーシップを確立する」という目的に、あなたは何を想像するか

今回は目的を再解釈するという、戦略立案のなかでももっともクリエイティブな作業について、お話ししたいと思います。

「目的」を再解釈する、というのは新しい概念かもしれませんが、うまく使えるようになると、とても強力な道具になります。「目的」の再解釈は、SMACのような表現の明確化とは一線を画した概念です。SMACはとても重要ですが、あくまで書き方の話。再解釈というのは、むしろ目的そのものを解釈し直す考え方です。

「解決すべき問題がうまく定義付けられた時点で、問題の半分は解けたようなものだ(A problem well defined is half solved.)」という言葉があります。1876年生まれのアメリカの発明家、チャールズ・ケタリングの言葉です。では、どうすれば問題を、そして目的を「うまく」定義付けられるでしょう。ふたつの方法を説明したいと思います。

方法①:思考のスイッチを入れる

英語に「Thought-starter question」という言葉があります。「考えを起動する質問」といった意味で、思考のスイッチを入れ、思考を特定の方向に向かわせる質問です。

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