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IPG内のアドテク専門部隊、キャドレオンに新トップが就任

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グローバルに展開する広告グループインターパブリック・グループ内でメディアエージェンシーの機能を担うIPG メディアブランズ。その日本支社であるIPG メディアブランズジャパンは、同社の中でプログラマティック技術のソリューション構築を担うキャドレオン ジャパン(Cadreon Japan)のマネージング・ディレクターに4月3日付で、伊東裕揮氏が就任した旨、発表を行った。

伊東氏はこれまでネットイヤー、オラクル、ワンダーマン、グーグル、アドロールなどでマーケティング、特にデジタル領域の事業に携わってきた経験を持つ。プログラマティック技術に特化した、同社の戦略と日本市場での展望を聞いた。

—キャドレオンとは、どのような組織なのか。

キャドレオン ジャパン
マネージング・ディレクター
伊東裕揮氏

インターパブリック・グループ内でメディアエージェンシー機能を担うIPGメディアブランズには、様々な専門部隊がある。キャドレオンもその専門部隊のひとつ。アドテク、プログラマティック領域に特化した部隊として、主にディスプレイとソーシャルの領域の広告運用とソリューション開発を担っている。拠点はサンフランシスコにあるが、現在世界68カ国で事業を展開している。日本ではキャドレオンは2012年に立ち上げられ、今年の4月から私が、この部隊を率いることになった。

総合広告会社の中に、デジタル領域の広告の運用を担う人材を内包している点に特長がある。日本においてすべてのオペレーションを内製化している広告会社は、まだ少ないのではないか。キャドレオンは日本を含むアジア太平洋地区だけで 150名を超えるプログラマティック、データスペシャリストを抱えている。

—日本におけるプログラマティック市場の展望をどう見ているか。

米国ではすでにデジタル広告在庫の大部分かプログラマティック取引でアクセス可能な環境にあり、プログラマティックの活用が一般化している。それに比べれば、まだ日本では理解が進んでいない状況と考えており、だからこそ成長可能性も高いと考えている。

現在、クライアントの社数で言うと、IPGメディアブランズがグローバルでアカウントを持っている企業と日本で独自に開発した企業の割合は約半々。ただ売り上げはグローバルでアカウントを持つ企業の方が、多い状況だ。

私たちが、目指しているのはプログラマティック広告取引を普及させることそのものではない。広告を配信する前にターゲットオーディエンスを設定し、その中でもハイバリューオーディエンスを決めること。広告を配信した後に、そのハイバリューオーディエンスの態度変容を促せたかを測定し、ビジネスにインパクトを与えるようなデジタル広告の活用支援を行うことこそが私たちが提供できる価値であり、そうしたデジタル広告の活用を日本市場で根付かせていきたい。

ハイバリューオーディエンスを設定し、その人たちに対して広告を配信し、ビジネスにインパクトを与えていく上では、その手段として自ずとプログラマティック広告取引が最も有効な手段となり、最大限活用することを推進している。プログラマティック広告取引という手段ではなく、あくまで目的ありきで考えている。プログラマティックの専門スタッフとデータスペシャリストが一緒に動き、広告配信の前後の戦略策定、分析によって成果を高めることができる、それがキャドレオンの強みであり、この体制があることが、私が移籍を決めた最大の理由でもある。

—今後、日本のデジタル広告の市場にどのようなインパクトを与えたいと考えているか。

長年デジタルの広告に携わってきて、ラストクリックCPAによる広告評価を偏重しすぎることが、市場の健全な成長を阻んでいるという問題意識を持っていた。マーケティング活動には通常、ファネルという考え方が用いられるが、ラストクリックCPAを重視する傾向にある日本では、デジタル広告においてアッパーファネルを狙った広告商品が、なかなか受け入れられない環境がある。しかし、これはクライアント企業にとっても、ユーザーにとっても、決して幸せな状況とは言えない。

グーグル、アドロールにいた頃から日本のデジタル広告の市場をどうしたらより健全な形にならないだろうか、と考えて行動をしてきた。ラストクリックCPAという指標が重要なケースももちろんあるが、それに偏重しすぎるということは、現在のデジタル広告がマーケティングの話をできていないということでもある。私たちは、総合広告グループとして動く中で、デジタル広告の新しい世界をつくっていきたいと考えている。