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読者の興味・関心データをコンテンツ開発に生かす — 小学館の「コトバDMP」

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小学館は6月9日、言語解析技術を活用した独自のデータマーケティング基盤「コトバDMP」を開発したと発表した。また「コトバDMP」を活用し、同社のメディアやコンテンツを通じて得られるユーザーの興味関心に関するデータを基に、企業のコンテンツマーケティングを支援するサービスも合わせて開始した。

コトバDMPの仕組み。

小学館では昨年7月より、デジタル時代に合わせて社内組織・体制を刷新。「Data based “Contents Power”.小学館」をコンセプトに掲げ、全社横断的にコンテンツサービスの改革を進めている。

「コトバDMP」はこの取り組みの一環で構築された。小学館の多様なメディア・コンテンツに接触する読者・ユーザーの興味関心の対象を「コトバ」レベルで解析し、広告主のマーケティング活動に役立てようとするものだ。同社の発表によれば、小学館のメディア・コンテンツの閲覧数、およびユーザー数は月間2.2億PV、5000万UUにのぼる。

「特定のユーザー層がどのようなコトバを含むコンテンツに接触したか」というコンテンツ消費傾向を分析し、そのデータを広告主のコンテンツ開発に活かすことができる。

「コトバDMP」、およびコンテンツマーケティング支援事業の開発に至った背景には、紙の雑誌広告に代わる収益源となり得る、新たなサービスを模索していたことがある。

「デジタル広告領域において、これまで『はっきりと効果が見えるブランディング関連サービス』はあまりなかったと思いますが、そこに広告主企業の需要があると感じていました」と小学館の担当者は振り返る。

約40のメディアを有し、老若男女問わず幅広い年齢層のユーザーを抱えているものの、マネタイズはごく一部のユーザーを対象としたものに留まっているという課題もあった。

「昨今、『枠から人へ』とよく言われますが、当社にはそれを実現する広告配信の仕組みもなく、雑誌広告の売上が苦戦しているという現状がありました」(同)。

出版社のDMP導入は、オーディエンス(読者、ユーザー)をセグメントで分類し、自社メディア内に表示する広告のROIを高めたり、外部サイトへの広告配信の効率化を図ることを目的とするケースが多い。

小学館の「コトバDMP」では、広告主企業のオウンドメディアに到達していない潜在ユーザーへのコミュニケーションが可能であることはもちろん、広告主の商品・サービスのターゲットであるユーザー層のコンテンツ消費傾向を示すデータを基に、ブランドリフトにつながるコンテンツ開発を行うことができる。

また、そのコンテンツが小学館サイトおよび外部サイトで掲載された後には、ポジティブな成果をレポートするだけでなく、次の施策へ向けたコミュニケーション課題も洗い出す。コンテンツマーケティングのPDCAサイクルを回せることが、本サービスの強みだという。

サービスの提供開始から約1カ月が経った現在、エージェンシーやデータサービスベンダーに加え、さまざまな業種の広告主からも問い合わせが寄せられているという。「リリースに対するSNSでの反応を見ても、多くのデジタルマーケターが関心を持っているようだ」と担当者は話す。

今後の課題は、このサービスによってブランドの課題が解決できたと広告主に実感してもらうこと、そしてその実感を多くの企業に広げていくことだという。

「『広告主とメディア』の関係性というより、パートナー企業として長期的な視点に立って顧客育成や顧客開拓を支援できるよう、サービスを磨いていきたいと考えています。単発の取り組みで効果を実感していただくのみならず、継続的に連携することで得られる、これまでのサービスとは違った達成感を提供できたら」(同)と展望を話した。