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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

動画広告が炎上したのは、「広告表現」になってないからだ

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「キャッチフレーズ入れておきました的」な動画

炎上したウェブ動画について、徳力さんが「らしさ」が大事だという話を書いています(「ネット動画の炎上騒動が相次いでいるのは、なぜだろうか?」)。

私がいま書いていることとほとんど同じですね。そう、「らしさ」を踏み外したのが、炎上の一因かもしれない。

動画に限らず、ネットでの広告を見ていると、「これは広告じゃなくて情報だなあ」と感じることが多いです。商品の機能とかスペックとか、「要素」だけを紹介して「はい!広告しましたー!」みたいなの。

記事タイプの広告も、面白い記事を書き連ねて、そこに商品紹介をくっつけた形のものが多い。それは商品紹介であって、広告じゃないよと、いつも思うのです。

ブランドをふまえていない。「らしさ」にちゃんと向き合っていない。ネットでの広告表現は、そういうものが多いです。炎上動画は、その欠陥が増幅して露呈したと言えそうです。

炎上動画には、マス広告で使われているコピーを使ったものもありました。ちゃんとブランドを踏まえているつもりです。いやでも、言葉が同じだけで、言葉が持つべき精神というか世界観というか、それはまったく別物でしたし、ねじ曲げられたとも言えます。

どういうコピーなのかを、マス広告と動画制作者の間で共有できていない。いかにも「はい!ちゃんとキャッチフレーズ使っときましたー!」と、入れときゃいいんでしょ感が丸出しでした。

では、その「らしさ」とかいうものはどうやって考えればいいのでしょう。

私は28年前に宣伝会議のコピーライター養成講座に通いました。梅本洋一さんのコースを選んだら、最初の講義で梅本さんは「同心円で考えるんだ」と言いました。当時は、さっぱりわかりませんでしたが、その後に仕事を本格的にやっていくと、この「同心円で考える」方法がわかってきました。

梅本さんが言ったことを図にするとこんな感じです。

機能価値とか情緒価値という言葉は、梅本さんが言ったのではなく、私がわかりやすくするために入れた言葉です。

右側はひと昔前の有名な「スカッとさわやか、コカコーラ」を無理やり当てはめるとこうなる、ということで、実際にあのスローガンがこうやって考えられたわけではないですので、ご注意を。

機能的な価値を「そのまま書く」ことは、商品紹介であって広告ではないわけです。機能価値だけを伝えて、その機能が相手に「必要」と思わせることはあっても、心は揺さぶらない。いくつかの機能価値を大きく包み込める情緒価値に昇華させると心が動く、かもしれない。

それが広告表現を考える作業のはずなのです。

次ページ 「バズ動画から卒業しよう」へ続く