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コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

動画広告が炎上したのは、「広告表現」になってないからだ

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バズ動画から卒業しよう

広告の役割が「態度変容」と言われるのも心を動かすからだと私は思います。

「燃費がいいコンパクトSUV」という機能価値のクルマだとしたら、「経済的だし、どこでも行ける」とやっても情緒価値にならない。それらを兼ね備えたクルマなら、こんな気持ちになったりこんな生活ができたりするね、ということを描くことで「新しい価値」になるはずなのです。そうはうまく問屋が卸さなかったりしますが、基本的にはそう考える。そう考える努力をする。それが広告をつくる作業です。

そう考えていくと、もう単発でバズを狙うWeb動画は、そろそろおしまいにしませんか、と言いたくなります。

むしろ、ここで私が書いた「情緒価値」をWebで表現するにはどうすればいいかを考えたほうがいい。そうするとWebの特性から「ターゲット層に何度も見てもらえるような映像がいいじゃないか」という選択肢も出てくるはずです。

それだけではないでしょう。いろいろ考えられそうです。だからとにかく、Web動画でバズを狙いますというのは、もう卒業しましょう。バズ狙って、炎上しちゃったんじゃ、元も子もないですから。

そんな短絡的な狙いより、商品の周りにどんな映像世界を構築できるか、情緒的な、心が揺れ動くような表現を志しましょうよ。長尺で、じーんと来るようなの、あるいは大笑いできるようなの、きっとできますから。

ところでセンチになるので言いませんでしたが、私に同心円の考え方を教えてくれた梅本洋一さんは、4年前にご病気で亡くなりました。宣伝会議のコピーライター養成講座で梅本さんが教えてくれたことを、宣伝会議のAdverTimesでまた私が若い人に伝えられたらいいなあと思います。

どうでしょう?伝わりました?受けとめてもらえましたか?

境 治(コピーライター/メディアコンサルタント)

1962年福岡市生まれ。1987年東京大学卒業後、広告会社I&S(現I&SBBDO)に入社しコピーライターに。その後、フリーランスとして活動したあとロボット、ビデオプロモーションに勤務。2013年から再びフリーランスに。有料WEBマガジン「テレビとネットの横断業界誌 Media Borer 」を発刊し、テレビとネットの最新情報を配信している。著書「拡張するテレビ ― 広告と動画とコンテンツビジネスの未来―」。株式会社エム・データ顧問研究員としても活動中。お問合せや最新情報などはこちら