【前回】「CMOはなぜ日本に根付かないのか? — 博報堂コンサルティング 池田想氏」はこちら
池田 想 氏
博報堂コンサルティング プロジェクトマネジャー
慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、株式会社博報堂に入社。営業局、マーケティング局を経て現職。博報堂では、主に消費財などのクライアントを担当し、広告・コミュニケ-ションの企画・実施に従事。現在はコンサルタントとして、主にコーポレートブランディングやグローバルマーケティング領域における戦略立案・実行支援などのプロジェクトに携わる。
経営者のパートナーである2者
経営者が経営戦略を立てるときに、最も頼りにしているのは誰でしょうか? 2013年にIBM社がグローバルの経営層に対して実施した調査によれば、トップが「CFO:最高財務責任者(72%)」、そして2番目に来るのが「CMO:最高マーケティング責任者(63%)」です(図1参照)。
この結果は、マーケティングとファイナンスこそがグローバル経営において中核となる2大機能であることを示しています。今回はCFOとCMOを比べることで、CMOの意義や役割について考えてみたいと思います。
そもそも、よく聞かれるCEOやCOOなどの呼称(CXOクラスという言い方をするときもあります)は米国由来のものなので、中身を正確に理解するには、まず米国のコーポレートガバナンス(企業統治)の基本構造に立ち返らなければなりません。
米国では「所有(株を持つ)」「監視(経営をチェックする)」「執行(経営を実行する)」の3階層でコーポレートガバナンスが成り立っています。企業を「所有」するのが株主、企業経営を「監視」するのが取締役、そして企業経営を「執行」をするのが執行役員、すなわちCXOクラスと位置付けられています。
