サイト運用、いつまでも丸投げしてて大丈夫?【Webディレクターの未来を考える座談会・前編】

Webブラウザが生まれてから四半世紀が経った。大手から中小企業までWebサイトを持つことが当たり前の時代になり、その制作から運用までを導くWebディレクションという技術も体系化された。一方でWebサイトが当たり前の存在になったからこそ、企業内の体制面や個人のスキルなど、新たな課題も生まれている。

そこで、今後の企業にとってWebサイトやWebディレクションは、どうあるべきかを考える座談会を開催。Webディレクターとして第一線で活躍する、デスクトップワークス 代表取締役・田口真行氏、ビットエー メディア戦略室室長の中村健太氏、ブランド戦略室室長の高瀬康次氏に語ってもらった。

左)ビットエー メディア戦略室室長 中村健太氏
中)デスクトップワークス 代表取締役・田口真行氏
右)ビットエー ブランド戦略室室長 高瀬康次氏

仕事の幅が年々広くなるWebディレクション

田口:

3人ともWebディレクターと名乗っていますが、クライアントの規模、仕事の進め方は異なります。

中村:

そうですね。僕の場合は、ユーザーとの接点を持つためにWebサイトを検討しているという段階からの相談が多いです。少し前までは「とりあえず、つくりたい」という制作ありきの案件が多かったのですが、ここ数年は運用に対してどれだけ費用と人材を投下すべきか、最終的に何を基準に成果を判断すべきか、という相談が多いです。

田口 真行氏
デスクトップワークス 代表取締役

1999年、フリーのWebディレクターとして独立後、デスクトップワークスを設立。企業サイトの企画~設計~制作~運用を手掛ける傍ら、独自手法のディレクションを題材にした実践型の研修講師として全国各地での講演活動を実施。また、Webディレクター向けのライブ配信番組「田口真行のWebディレクション講座」や、セミナーイベント「エンタミナ」の主催など幅広く活動。著書に『現場のプロが教えるWebディレクションの最新常識 知らないと困るWebデザインの新ルール2』(エムディーエヌコーポレーション、共著)、『第一線のプロがホンネで教える 超実践的 Webディレクターの教科書』(マイナビ、共著)。

田口:

私がWebディレクターを始めた約20年前は、「そもそもパソコンって何に使えるの?」と聞かれる時代でした。その後は、パソコンやインターネットが日常的に使用されるようになり、Webサイトがビジネスにおけるマーケティングやブランディングのツールとして理解されるようになってきました。現在は、運用部分が分からないため相談したい、という依頼が多い段階になっています。

しかし、かといってクライアント側のWebサイトへの理解が浸透したのかと言うと、一概にそうでもなくて。今はメディアやセミナーで他社事例が広く公開されるため、「当社もその領域を強化しなくては」と、あらゆる施策に目を向けるようになり、プロジェクトの軸がぶれていくことがあるんです。もちろん他社事例には価値のある情報も多いのですが、影響の受け方によっては、自社の戦略を惑わすようなノイズにもなりかねない。そうした環境下で、自分たちに必要なものを見定めなければいけない。

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