2017年クリスマス広告を振り返る — ジョン・ルイス、エデカ、アマゾンほか

【6】一人ひとりの「クリスマス」をひとつの歌にぎゅっと凝縮
セインズベリーズ「#everybitofChristmas」

 

1年の中でも、特に満ち足りた気持ちになる人が多いであろう、クリスマス。「クリスマス」と一言で言っても、イメージするものや、抱く思いは人によってさまざまに異なるはず。英国のスーパーマーケット・セインズベリーズは、老若男女がそれぞれの「クリスマス」について歌い継ぐ、ミュージックビデオのようなCMを制作した。一人ひとりにとって異なる意味を持つ「クリスマス」というシーズンの魅力を、ひとつの歌にぎゅっと詰め込んだ。YouTubeでは、約465万回再生されている(12月26日現在)。

【7】おなじみのダンボール箱が、クリスマス気分で大合唱
アマゾンUK「Give」

年末商戦は、百貨店やスーパーマーケットのみならず、アマゾンにとってももちろん書き入れ時。このCMでは、配送センターから送り出された小包が、トラックや飛行機、バイクに載せられ、人々の元に届けられていく様子が描かれている。その道すがら、アマゾンでのショッピングでおなじみのダンボール箱「アマゾンボックス」が、Roger Hodgsonの「Give a Little Bit.」を大合唱。クリスマスならではのワクワクする気持ちを表現した。

【8】クリスマス広告の代表、ジョン・ルイス
ジョン・ルイス「#MozTheMonster」

 

毎年クリスマスに心温まるCMを公開し、話題を集める、英国の百貨店 ジョン・ルイス。今年は、少年・ジョーと、ベッドの下にすむモンスター「モズ」が、友情を育む様子を描くストーリーとなっている。最初はモズを追い出そうとするジョーだが、次第に打ち解け、夜通し一緒に遊ぶように。そんなジョーに、モズが贈ったプレゼントとは…?監督は、アカデミー脚本賞の受賞歴を持つミシェル・ゴンドリーが務めた。

さらに、テレビCMの世界観を生かした、さまざまな派生企画も展開。“自分だけの”モズを生成できるインタラクティブコンテンツを公開したほか、iTunesやSpotifyでサウンドトラックを配信、作中に登場したベッドカバーなど関連グッズを販売、さらに、オックスフォードストリート店にはモズがいる子ども部屋を再現した「Moz The Monster’s House」の展示を行った。企画制作は、例年と同様、adam&eveDDB。

リアル/デジタルの施策を組み合わせたアプローチが不可欠

NRFの発表によれば、11月の小売り売上高は対前月比月0.9%増、前年比6%増を記録したという。これを踏まえると、年末商戦全体の小売り売上高は、10月に発表した予測を上回る見込みだ。

活況を呈する年末商戦だが、「オンラインストアの成長により、リアル店舗の客足は遠のいている」との報道も見受けられる。NRFが10月、7000人あまりの消費者を対象に実施した調査によると、今年の年末商戦において、「オンラインストアで商品を購入する予定」と回答した人は59%にのぼり、「デパート」(57%)と「ディスカウントストア」(54%)を初めて超えたという。実際、オンラインストアを含む無店舗販売の11月の売上高は対前年比10.5%増となった。

感謝祭からサイバーマンデーまでの5日間の調査結果(NRF調べ)によると、オンラインストアのみを利用した人は5840万人、リアル店舗のみを利用した人は5160万人で、両方使った人が6460万人と最も多かった。購買チャネルがオフラインからオンラインへと移行しているというよりは、消費者は両者を上手く使い分けていることが伺える。小売り企業には、リアル/デジタルの手法を組み合わせて消費者にアプローチすることが、今後ますます求められると言えそうだ。

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