日本大学アメフット部の選手の悪質なタックルで、関西学院大学の選手が負傷した問題。5月29日、日大が所属する関東学生連盟が臨時理事会を開き、前監督とコーチの除名処分を決定した。
本件に関して、日大側が開いた3度の会見から学ぶべきこととは。20年以上危機管理広報のコンサルティングに携わり、2018年2月に著書『危機管理&メディア対応 新ハンドブック』(宣伝会議刊)を発売した山口明雄氏(アクセスイースト代表)が2回にわたって分析する。
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アメリカンフットボールの定期戦で、関西学院大学のクォーターバックを負傷させた問題で、先週、4つの記者会見が行われた。その会見の一部始終を、私はテレビやYouTubeなどで見た。合計8時間ほどになる。
その印象をひとことで言うと、日大の前監督と前コーチの会見は「支離滅裂」。日大学長の会見は「慇懃無礼」。この2つの会見は、危機管理広報のコンサルティングとメディアトレーニングを仕事としている私の常識と、私があるべきと考える記者会見の姿からは、大きくかけ離れている。
先週の日本大学側の記者会見は以下の3つだった。
1.
5月22日(火)午後2時45分開始<日本記者クラブ(東京)>
日大アメフット部選手の実名会見
2.
5月23日(水)午後8時開始 <日本大学内(東京)>
日大の内田正人前監督、井上奨コーチの緊急会見
3.
5月25日(金)15時30分開始 <日本大学内(東京)>
日大の大塚吉兵衛学長の緊急会見
※5月26日(土)には関西学院大学(大阪)で、同大アメフット部の鳥内秀晃監督と小野宏ディレクターが会見。負傷させられた選手の父親も参加した。
支離滅裂な広報対応がスタート
5月22日の日大アメフット部選手の会見直後に、日大にコメントを求めて詰めかけたメディアに対して、日大の広報担当は「今日はお話することはございませんので、お引き取りください」と答えた。支離滅裂対応の始まりだ。5月6日の反則プレー発生以来、国民の強い関心を引きつけているこの問題で、渦中の選手が会見を開き、反則は監督の指示で行ったと話した直後のメディア対応である。
