左手に大きな花束、右手に小さなナイフ
前田:
そうやってプロセスでは苦労したけれど、結果的にうまく行ったという作品はありますか。
大島:
同業者によく言われるのは、10年位前の「情熱大陸」の秋元康さんの回ですね。これは「80年代以降、クリエイティブであること=金儲けがうまい事であるかのように捉えられているとしたらこの人のせいではないか」ということを裏のテーマで持っていて。ちょうど「CDの売り上げ枚数の記録で、阿久悠を秋元康が超えそうだ」と言われ始めていた時期だったので、「仮に超えたとしても阿久悠の方がクリエイターとしては上でしょう。そもそも秋元康はクリエイターなのか、ビジネスマンなのか」みたいな思いを抱きながら作ろうと思ったんです。もちろん、職業人としての秋元さんにリスペクトの気持ちもありましたが。