「マーケティングは死んだ」のか? これから僕たちは何を努力すべきなのか?【前編】

インターブランド社の発表による “Best Global Brand 2017” のベスト3は、「アップル」「Google」「マイクロソフト」とすべてがIT・インターネット系の企業だった。
一方、世界の広告主ランキングでは上位トップ5に入る企業が擁するブランドはいずれもトップ10圏外にとどまった。
莫大な広告宣伝費が強固なブランド構築に必ずしもつながらず、はるかに小規模なマーケティング部門を擁する企業が次々とブランドイメージのトップを独占する。
この意味するところは、果たしてマーケティングの死なのか?
話題のマーケティング書の著者でもある気鋭のマーケターたちが青山ブックセンターに集い、トークイベントを開催。この問題の真相と未来への打ち手を議論した。


登壇者
井上大輔(いのうえ・だいすけ)
アウディジャパン株式会社 メディア&クリエイティブマネージャー

奥谷孝司(おくたに・たかし)
Engagement Commerce Lab 代表
オイシックス・ラ・大地株式会社 COCO(チーフ・オムニ・チャネル・オフィサー)

岩井琢磨(いわい・たくま)
Engagement Commerce Lab ディレクター
大広プロジェクト・マネージャー

逸見光次郎(へんみ・こうじろう)
オムニチャネルコンサルタント

モデレーター:
徳力基彦(とくりき・もとひこ) 
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社  取締役 CMO ブロガー

マーケティング=プロモーション
の偏重主義はもうやめにしよう

徳力:

今回は、少々刺激的なテーマのトークイベントです。マーケティングは死んだと言えば、当然死んでないと怒る人がたくさんいると思いますが(笑)。

もし仮に、マーケティングはすでに「死んでしまった」という仮定で話しを進めるとしたら、一体どこが死んだのだと思いますか?

井上:

最初にまず、いくつかデータをご紹介したいと思います。2004年にヨーロッパのマーケットを対象にニールセンが行ったリサーチによれば、日用消費財商品のうち76%が一年以内に棚落ちしていることが解りました。

消費財企業と言えばマーケティングの先進者集団、マーケターにとってサッカーでいえば欧州のトップリーグのような存在と言えますが、これが現実です。

2011年のハーバードビジネスレビューのレポートによると、日用消費財の成功の基準といわれる5,000万ドルを超える商品は、年間で3%にも満たない。

入念なリサーチを基にマーケティング活動をしているにもかかわらず、トップ企業が年中空振りをしている。従来、教科書として仰ぎ見られてきたマーケティングの体系が、今大きな変化に直面していることは間違いありません。

消費者が一日に体験するブランド体験を記録する「

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