新作『未来のミライ』は長男の“ある行動”から生まれた(ゲスト:細田守)【前編】

音楽を依頼した山下達郎さんに言われたこと

澤本:僕は『未来のミライ』を見て要らぬ心配をしたのが、これは本当に子ども向けに見えないんですよ。普通に大人のアニメーションだから、子どもが出ているけど、子どもは自分向けと思うのかなというのが唯一心配で。むしろ子どもが大人向けの良作を見て、どう思うんだろうと。

細田:それは本当に聞いてみたいですよね(笑)。

澤本:でも、子どものほうが実はもっといい解釈をするかもしれないしね。

中村:監督は5歳と2歳の長男長女には見せてないんですか?

細田:まだ見せてなくて。というのは妹がまだ2歳なので、本当は一緒に見てほしいんだけど、下の子を預けないといけないじゃないですか。それをどうするかで迷ってるんです。

中村:わりと卑近な悩みですね(笑)。

細田:そうそう。でも、たとえばさっき流れていた山下達郎さんのオープニングテーマなんですけど、あのデモがうちにデータで届いて聞いていたら、上の子がピョコピョコやってきて、「お父さんこれいい曲だね」と言い出して。「何だ、そのいきなり上から目線は。達郎さんだぞ、この曲は」と(笑)。達郎さんの曲は「小さい子に向けた映画のオープニングをつくってください」と依頼して、楽しい曲になっていながらも、クオリティは半端ないじゃないですか。

澤本:すごいですよね。

細田:ということがちゃんと子どもにも伝わるんだとそのときに思って。そういう点で子どもたちも『未来のミライ』という映画を、一種の偏ったクオリティを見て楽しんでもらえるといいなと思ってます。

中村:前作も達郎さんでしたっけ?

細田:『サマーウォーズ』のときに達郎さんにやってもらって、そこから9年ぶりなんですよ。

中村:再び達郎さんというのは細田さんの中で何かあるんですか?

細田:1つあるのは、今回も時空を飛びこえる話ですけど、達郎さんの曲自体が時空を飛びこえているでしょ。いろいろな音楽家の方がいて、ある瞬間にものすごい光を放つ人もいるけれど、達郎さんはつくった曲が何十年経っても、時代の風雪を乗り越えていくようなところがあって。内容と合わせて達郎さんにぜひ書いてほしい、達郎さんしかいないと思ってお願いしたんです。でもね、達郎さんに聞いたら「2回目に頼んできたのはあなたが初めてだよ」って。

澤本:そうなんですか?

細田:「しかも2曲も頼むのはあんたが初めてだ」と。書いてくれて本当にうれしくて、光栄だと思ってます。

澤本:夏の感じ、SF感、家族の感じも、今回の映画に曲が合っていていいなと思いました。

細田:やっぱり達郎さんがシナリオを読み込んで書いてくださったということもあるし、達郎さん自体の幅が広いでしょ。大人の渋い恋愛の曲もあれば、いろいろな幅がある中で子どもに向けた曲、たとえば『アトムの子』、『ドーナツ・ソング』もあって。今回も映画の幅を達郎さんの大きな世界の中で書いてくださったのがよかったと思うんですよね。

中村:声優の起用でいうと、初参加組もいますね。福山雅治さん、星野源さん、宮崎美子さん。すごいメンバーですね?

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