「子育てプロジェクト」はキャリアアップのチャンス【マドレボニータ・吉田紫磨子×前田考歩】

産褥記 産んだらなんとかなりませんから!』(KADOKAWA)の著者である吉田紫磨子さんは、NPO法人マドレボニータで産後セルフケアインストラクターとして産前産後の女性とそのパートナーのケアに取り組んでいます。
第一子出産後の産後鬱を乗り越えた自らの経験から、子育てはパートナーとのメンバーシップによるプロジェクトとして進めるべきであると考える吉田さんと、『予定通り進まないプロジェクトの進め方』の著者 前田考歩さんが対談を行いました。

左)吉田紫磨子さん、右)前田考歩さん

自己開示がチームの結束を強くする

前田:

今回は「子育て」と「プロジェクト」がテーマなのですが、どのような共通点があるのでしょうか。さて、まず吉田さんは僕の本を読んでいただけましたか?

吉田:

はい、読ませていただきました。今回「プロジェクト」というテーマで声をかけていただいて、すごく嬉しかったんです。出産も育児も「夫婦」というチームの最重要プロジェクトですから。とくに妻は出産で心身共にくたくたなので、夫にはマネージャーとして俯瞰的にチームを運営するような立場でいてもらいたいと思っています。でも、育児に男性を巻き込むのはとても難しいです。

前田:

まさに今日はそこをお聞きしたかったんです。吉田さんの『産褥記 産んだらなんとかなりませんから!』には、出産後、仕事を辞めて育児に専念する吉田さんに対して、ご主人は「じゃあ、俺は仕事をがんばるから!」というモードになられたと書いてありました。それをどのようにして「子育てをする」モードに切り替えたのか。マインドを変えるのはすごく難しいことですよね。

吉田:

一人目を産んで産後鬱になった時、夫が憎くてしょうがなかったんです。私はこんなにしんどい思いをしているのに、夫は子どもが生まれる前と何ひとつ変わらない。毎朝7時半に出かけていって、帰ってくるのは夜中の1時とか2時。外に出れば、人から「赤ちゃんが生まれて幸せね」みたいなことを言われるから、しんどいなんて言えない。仕事を辞めて育児に専念すると決めたのは自分だから夫に弱音も吐けない。私はどんどん孤独になっていきました。そしていよいよこの状態は良くないと思うようになり、カウンセリングやマドレボニータに通うようになって、1年かけて回復して、ようやく夫に「自分で決めて仕事を辞めたけど、つらいから働きたい」と、自分の思いを伝えることができました。

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