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新しい広告フォーマット「スマートフィード(SmartFeed)」は、何を変えるのか?

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スマートフィード導入で回遊性・収益性ともにアップ

その後、スマートフィードを実際に導入している産経デジタル、アウトストリーム広告を展開するTeadsの担当者が壇上に招かれ、「スマートフィードの導入で何が変わったのか」というテーマでパネルディスカッションが行われた。

そもそも、スマートフィードの導入を決めた背景について、産経デジタルの木村久美子氏はこう話す。

「現在スマートフィードを導入しているのは『iza』だけだが、アウトブレインとは複数サイトでの取引実績がある。広告のクリック数だけではなく、ユーザーの回遊を求めるサイト、特定の時期にユーザーとのエンゲージメントを強化したいサイトなど、サイトごとに私たちが求めている KPIは異なる。ユーザー体験が変化する中、同社は私たちの課題やサイトの目的に合わせた提案をしてくれる。いわば『漢方薬の処方箋を書いてくれるお医者さん』という存在。広告審査の観点においても、掲載される広告のクオリティに対して私たちはいつも非常に敏感。その中で、同社は広告の健全化に力を入れて取り組んでいる。こうした信頼感により、スマートフィードの話を頂いた当初から、導入を積極的に考えることができた」。

導入後の効果について木村氏は、「特にスマートフォンでのユーザー体験を考えると、私たちのニュースサイトにユーザーがソーシャル経由で流入してきたとき、『次の体験』を阻害しないUIにすることが課題のひとつだった。その中で、スマートフィードはスムーズなユーザー体験を促すものであると感じた。実際に、回遊性と収益性ともに1.25倍から1.3倍 アップした。それに副次的な効果も。今まで編集部門は『いいコンテンツを作る』、営業部門は『お金を稼ぐ』という意識の中で、ときに利益が相反することがあった。しかし、今はスマートフィードという武器でどうすればお互いをリフトさせられるか、全体最適を目指せるか双方で議論できるようになった」と話す。

アウトストリーム広告の価値が徐々に評価されている

一方で、スマートフィードを通してパブリッシャーにもたらしたいメリットの1つに、「動画広告との親和性」を今後の大きなテーマに掲げるアウトブレイン。動画コンテンツというマーケット、アウトストリームという表現方法は現在どのような状況か。Teads日本法人の今村幸彦氏に見解を伺った。Teadsとアウトブレインは今夏、動画広告において提携し、アウトブレインのネットワーク上でTeadsの動画広告が提供可能となる予定だ。

「国内の動画広告市場は年々倍増し、キャンペーンの情報量も右肩上がり。動画広告といえば、これまでは Facebook、YouTube、Twitterといった選択肢がほとんどだった。しかし2017年初めくらいから、ブランドセーフティやビューアビリティの問題が大きく取り沙汰され、我々への問い合わせ内容もそれらの対策に関するものが当たり前になってきた。そのような中、アウトストリーム広告は、『もうひとつのチョイス』として、今や完全に市民権を得ている」。

また、アウトストリーム広告の価値について、今村氏はこう続けた。

「今は、スマートフィードのように、ユーザーの体験を損ねないようきちっと配慮している広告フォーマットが再注目されている。それに、最初の1秒で何の動画だか分からないものをユーザーはスキップしてしまう。これに対して、じっくり読むコンテンツの中にきちんと根付いている動画広告フォーマットは、滞在時間が長く視聴完了率も高いという傾向だ。これらがアウトストリーム広告の価値として徐々に世の中に認められていると感じている」。

その上で同氏は、「今の潮流として、データの正確性が疑問視されている。それに、クッキーの保存期間も短くなり、個人情報の取得に関してさまざまな制約がある中で、今後もう一度見直されるべきは、パブリッシャーが独自に持つ有力な読者層を軸に、ターゲティングしていくことではないか」と述べた。