年内に復刊の「WIRED」新編集長が目指すのは「編集者のブランド化」

2018年6月、「WIRED」日本版編集長に元NHK出版の松島倫明氏が就任した。現在のウェブマガジンとともに、休刊中の雑誌も年内に復刊させる予定だ。松島氏にWIREDとメディアの未来について聞いたインタビューを、『編集会議』2018年夏号(7月31日発売)の特別編としてお届けする。

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コンデナスト・ジャパン「WIRED」日本版編集長 松島倫明氏
1972年生まれ、東京都出身、鎌倉在住。一橋大学にて社会学を専攻。1996年にNHK出版に入社。村上龍氏のメールマガジンJMMなどを手がけたのち、2004年から翻訳書の版権取得・編集・プロモーションなどを幅広く行う。2014年からNHK出版 放送・学芸図書編集部編集長。2015年ビジネス書大賞受賞の『ZERO to ONE』や『限界費用ゼロ社会』、Amazon.com年間ベストブックの『〈インターネット〉の次に来るもの』などを手がける。2018年6月、「WIRED」日本版編集長に就任。

—2018年6月1日付で編集長に就任した松島さん。NHK出版時代には、 クリス・アンダーソン(WIRED元編集長)の『FREE─〈無料〉からお金 を生みだす新戦略』やケヴィン・ケリー(WIRED初代編集長)の『〈インターネット〉の次に来るもの』などの翻訳書の編集を手がけていらっしゃいました。その経験を踏まえて、今後WIRED をどのような方向に導いていきたいと 考えていますか。

『WIRED』はもともと、アメリカで1993年に創刊された雑誌で、最新のテクノロジーやデジタルカルチャーを通して社会や僕たちの生活がどう変わっていくのか、その「次の未来」を提示してきました。

日本版の創刊は翌1994 年で、2011年からはコンデナスト・ ジャパンが雑誌とウェブを発行し、2018年は前編集長・若林恵の退任にともなって雑誌が一時休刊になった後、 11月に復刊の予定です。

WIREDの使命は「テクノロジーが人類のカルチャーやライフスタイルに及ぼす影響に意味と文脈を与えていくこと」です。人類とテクノロジーの関係はそれこそ火というテクノロジーを扱うようになって以来、連綿と続いているわけで、その関係性は時代によって 様々に変わるし、プラスの面もあれば、 マイナスの面もあります。

例えば、インターネットによって世界中の人々が つながれるようになったことは、まさにテクノロジーの恩恵ですが、一方では数少ない巨大テック企業がビジネスを寡占し、個人データを売って利益を上げるといった問題も浮き彫りになってきました。そういった意味で、インターネットによって僕らは何を目指していたのか、その目的を内省する時期 に入っているとも言えます。

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