書籍を0円で売る実験 — 購入後に払ってもらう「価格自由」な売り方

目の前のアイテムが一瞬で現金に変わるアプリ「CASH」など、革新的なビジネスを立ち上げる起業家の光本勇介氏が著書『実験思考 世の中、すべては実験』(NewsPicks Book)を5月に発売する。電子版を0円、紙の書籍を原価の390円(税抜)で販売し、購入後にWebサイトで課金してもらうという書籍自体の売り方にその実験思考が実践されている。アマゾン書籍総合ランキングで1位を獲得し、発売前から在庫切れになるなど話題を呼んでいる。舞台裏を、光本氏と編集を担当した幻冬舎の箕輪厚介氏に聞いた。

左から、箕輪厚介氏、光本勇介氏

『実験思考』の実験

光本勇介氏

光本勇介:

「何かするにしてもリスクを考えてしまうけど、人生実験なのだから、いろいろなことが学べるし成長できるし、チャレンジしたほうが楽しい!」という内容の本です。これまで10年にわたり、会社をつくってきた経緯を書いています。

この本でユニークな部分が、価格。本を書くことには興味がなかったので、箕輪さんから声をかけていただいた際に、「僕が好きなように売らせていただけるのならいいですよ」と言ったんです。

箕輪厚介:

光本さんの話を聞いたとき、この人、書籍の中身にはあまり興味なくて、売り方に興味あるんだなって思いました。でも、話を進めていく中でうやむやに流せるかなと思ってたんですけど、売る段階になると、そこまで斬新なことをやるのかって。会社で話を通すことを考えて憂鬱になった(笑)。

光本:

書籍自体を電子版は0円、紙の本は印刷原価390円(税抜)で売って、好きな価格をお支払いくださいと本の最後にQRコードをつけています。ビジネス書は一般的に1500円くらいだけど、それで売るよりも、これで儲かるなら、これまでの出版業界の方法が正解じゃないかもしれないと思ったんですよ。

本のビジネスは、素人の僕が見てもあまり変わっていない。違う方法をやってみることで、初めて気付ける結果ってあると思うんです。それを単純に好奇心としてやってみたかった。今回の施策は「価格自由」という呼び方でやります。

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