アライドアーキテクツ、野村ホールディングス、コミュニケーション・ディレクターのさとなお氏こと、佐藤尚之氏の3者により、5月7日にファンベースカンパニーが設立された。「ファンベース」を中核に据えたマーケティング事業の展開を目指すという同社には、ネスレ日本で「ネスカフェアンバサダー」プログラムを立ち上げ、成長をリードしてきた津田匡保氏も創業メンバーとして参加している。
マーケターとしてキャリアを重ねてきた津田氏はなぜ今、独立を決めたのか。そして人口減少、市場の成熟化など、社会や経済の構造が大きく変わりつつある日本において、これから求められるマーケティングのありようとは。さとなお氏、津田匡保氏に聞く(本文中・敬称略)。
マーケターとしてキャリアを重ねてきた津田氏はなぜ今、独立を決めたのか。そして人口減少、市場の成熟化など、社会や経済の構造が大きく変わりつつある日本において、これから求められるマーケティングのありようとは。さとなお氏、津田匡保氏に聞く(本文中・敬称略)。
人口が減少していく日本におけるマーケティングの課題
—3者によって新会社、ファンベースカンパニーが設立に至った背景とは。佐藤:
シンプルに言うと、「ファンベース」という考え方が世の中に必要とされてきていることが大きいと思います。
その背景としては人口急減や超高齢社会などによって、市場自体が縮小し続けていることがまずありますね。毎年100万人ずつ人口が減っていくのが日本です。つまり顧客が物理的に急減していく。そういう時代に新規顧客を獲り合うのは修羅の道です。それよりも、すでに愛してくれているファンを大切にしてLTV(ライフタイムバリュー)を上げていくほうがコストも安いし、ずっと効率的なのではないかと、いろんな企業が考え始めています。
しかも「20%のファンが売上の80%を支えている」というパレートの法則がほとんどの商品やブランドに当てはまる。つまりファンは売上の大半を支えてくれてもいるわけです。ここに注力するほうが新規顧客獲得より先だろう、と。
さらに情報爆発やマスメディアの減衰により、従来ほどマス広告が効かなくなってきたことも大きいですね。それよりもファンである友人からの熱意ある口コミのほうがずっと効くことは調査でも証明されています。そういう流れもあってか、2018年に『ファンベース』を刊行したところ、非常に反響が大きかったんですね。
