上海は5Gソリューションの実験場
「CES ASIA」では、チャイナ・ユニコム(中国のテレコム企業大手)と上海市の5Gイノベーション協業開発事務局長らが登壇し、5Gの現状と可能性について意見を交わしていました。上海5Gイノベーションアンドデベロップメントアライアンス事務局長のChenbin Xu氏によれば、5GはBtoCの領域よりも、ビジネスアプリケーションの領域にとって、より活用の意義があると考えている。そのため、上海で行われている5Gへの取り組みは有効だと訴えました。
同氏は、3年以内に上海の街全体を5Gがカバーする基地局の建設計画があると説明。さらに5G技術の応用研究をするために、上海に実験エリアの構築を検討しているといいます。プレゼンテーションを通じて、上海が5Gソリューションのパイロットゾーンとしてイノベーションを牽引するのだと宣言していました。
また、チャイナ・ユニコムのJerry Wang氏は、5Gはモビリティの面で私たちの生活を前進させると話していました。5Gテクノロジーとモビリティから得るデータの活用は、交通混雑が問題化している国都市部の問題解決の大きな可能性があるといいます。
日本からもドローンスタートアップが登壇
ドローンセッションでは、日本のドローンテクノロジー企業であるエアロネクストが深圳に立ち上げた、天次科技(深圳)の総経理である川ノ上氏が登壇していました。同氏はドローン開発において日本の研究開発とエコシステムはまだ成熟していないため、中国と日本のコラボレーションによって技術開発や人材プールを構築したいと、中国進出の有用性を主張しました。
また同氏は、日本市場の新興産業について楽観的でないという見方を示しました。同氏は「中国での多くの技術革新は深圳が拠点となっているため、多くのドローン企業が深圳に集まって来ている。しかし日本で同じような環境を見つけるのは非常に難しいので、私たちは中国の市場、特に深圳の生態系を最大限に活用したいと思っている」と中国でドローン事業を推進する有用性について言及していました。
新しい技術に積極的な中国の生活者、消極的な日本の生活者
このセッションを通じて、筆者が興味深く感じたことは日本と中国のコンシューマーテクノロジーに関する川ノ上氏の考えです。同氏は新興技術に対して保守的な日本の生活者に比べ、中国の消費者は積極性があると話していました。この発言は、筆者が日米の生活者の新興技術やそれらの商品に対するモチベーションの差に近いと感じています。米国はもとより、中国の市場が持つ新興技術に対する積極性が、ドローンのような新しい産業領域でイノベーションを起こすためには必要な土壌と言えるのでしょう。
森直樹
電通 CDC エクスペリエンスデザイン部長 クリエーティブディレクター
光学機器のマーケティング、市場調査会社、ネット系ベンチャーなど経て2009年電通入社。米デザインコンサルティングファームであるfrog社との協業及び国内企業への事業展開、デジタル&テクノロジーによる事業およびイノベーション支援を手がける。 日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会の幹事(モバイル委員長)。著書に「モバイルシフト」(アスキー・メディアワークス、共著)など。ADFEST (INTERACTIVE Silver他)、Spikes Asia (PR グランプリ)、グッドデザイン賞など受賞。ad:tech Tokyo 公式スピーカー他、講演多数。
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