消費者とリアルな接点を持てる交通広告・OOHは、「移動空間」や「景観の一部」という従来の概念を飛び越え、人や人、人と地域のコミュニケーションの場を生み出していく可能性があります。
本コラムでは、「Metro Ad Creative Award」の審査員らが登場。交通・OOH広告を広く、街の魅力を創造するメディアとして捉え、最前線で活躍するクリエイターたちが自身を刺激する都市におけるクリエイティブについて語ります。
9月27日から、第3回「Metro Ad Creative Award」の募集が開始になりました。
私は東京メトロの媒体社で7年以上、様々な広告に触れてきたなかで、時代の急激な変化とともに、常に人々と密接した関係を保ちながら交通・OOH広告も日々進化を遂げている点に、メディアとしての可能性を感じています。
たとえば、日本で初開催となったラグビーワールドカップ。日本代表の華々しい活躍に、世界中が湧きました。日本各地でパブリックビューイングが行われ、渋谷駅前のスクランブル交差点でのお祭り騒ぎは、今やひとつの恒例行事となっていますよね。
そんな渋谷駅前のスクランブル交差点の風景を思い浮かべてみた時、人々が颯爽と行き交う空間の中に、街のシンボルとして巨大なビルボードやデジタルサイネージが設置された建物も一緒に浮かんでくるのではないでしょうか。これは広告業界で働く方に限らず、多くの人々が容易に想像する光景だと思います。
そのビルボードやデジタルサイネージもすべてOOH(Out Of Home:交通広告や屋外看板など、外出時に接触するメディアの総称)と呼ばれるメディアです。メディア環境の変化、特にスマートフォンの浸透は、交通・OOH広告に新しい可能性を与えていますし、その中でこれまでにない活用方法が生まれています。
最近、多く見られる表現手法は以下の2つです。
1.日頃見慣れた風景にさりげなく要素が付け足され、つい目を引く光景が広がる
2.日頃生活している空間にはあり得ないようなインパクトのあるモノが突如として現れる
「Metro Ad Creative Award」の受賞作品を見ても、上記のような着眼点で制作された作品が多く、今回はその中でもプランニング部門グランプリ作品2点をご紹介します。
こちらの2点は、同じ部門のグランプリ作品ですが、先ほどご紹介した2つの着眼点で表現されています。
第2回プランニング部門グランプリ「15m走自販機」。日本コカ・コーラ様による「運動するときにアクエリアスを飲みたくなる企画」という課題に対するアイデアです。