宣伝会議では、第57回「宣伝会議賞」の応募者向け特別セミナーを金沢21世紀美術館で開催した。登壇したのは本賞の審査員を務めるコピーライターの原晋氏と、北陸にてコピーライターとして活躍中の虎尾弘之氏。コピーライター養成講座の講師でもある2人が、自身のコピーライティング論について対談しました。
相手の立場で書き、気持ちを動かす
虎尾:
原さんはもともと、広告会社の営業をされていたんですよね?
原:
はい、営業時代に本格的にコピーライターを目指す決心をしました。
虎尾:
「宣伝会議賞」にはいつから応募していたのですか?
原:
学生時代を含めると、これまでに5回くらいは応募しています。学生のころは数本しか応募していないこともあり、まったく審査を通らなかったのですが、広告会社に入ってからは応募数が100本から500本へと増えていって、最後は800本ぐらいのコピーをダンボール箱に入れて送っていました(※編集部注:現在は郵送での「宣伝会議賞」への作品応募は受け付けていません)。
虎尾:
それはすごい。
原:
会社の昼休みを利用しながら、応募期間中は毎日2時間ぐらいは「宣伝会議賞」に時間をかけていました。土日の休みも全部、「宣伝会議賞」に使っていましたね。
虎尾:
たくさん書けば書くほど、伝えたいものの本質が見えてくるというか。やはり量は質に通じるんですかね。とにかく、まずは量を意識してコピーを書いてみるということは大事ですよね。
原:
そのとおりですね。結局、営業時代に書いたコピーでTCC新人賞を獲得したのですが、ド素人として書き始めて、新人賞を獲るまでには先輩に何百本もコピーを見てもらった。最初は先輩から「良いのが1本もない」のひと言だけでしたが、600本見せたころようやく「1本だけ良いのあったよ」と言ってもらえたんです。
