近年、注目を集めている欧州発のイノベーションカンファレンス「Web Summit」。初参加だった昨年に続き、今年も参加をしてきました。まだまだ国内ではマイナーイベントですが、今年は18社の日本企業が出展し、昨年以上に日本人の参加者が増えている印象を受けました。米国のカンファレンスにはない欧州発信の「Web Summit2019」は、ポルトガル・リスボンで2019年11月4日から7日に開催。今回もイベントの様子を私、電通 CDC エクスペリエンスデザイン部長でクリエーティブディレクターの森直樹がレポートします。
テクノロジーだけでなく、地球や社会全体に対する姿勢も大きなテーマに
今回、筆者が参加するのは2回目となる「Web Summit」について、まず簡単に解説しておきたいと思う。すでに各種メディアでも少なからず取り上げられているので、その存在については知っている読者も多いのではないだろうか。
「Web Summit」は、2010年からスタートした欧州最大規模のイノベーションカンファレンス。会場はポルトガルのリスボンで、世界中のCXO、スタートアップ創業者、投資家、ジャーナリストなど8万人以上が参加するイベントだ。近年、日本人の参加者も増えており、日本における関心の高まりを感じている。
さて、この「Web Summit」だが、その大きな特徴は米系のテック系カンファレンスとは一線を画したテーマ設計にあると筆者は考えている。AIや自動運転、ロボット、5G、デジタルマーケティング、FinTechといったテクノロジーやスタートアップエコノミーをテーマにした話題が多く取り上げられている点は、他の北米系のカンファレンスと大きく変わらない。
しかし「Web Summit」では、テック系のテーマに加えて、「地球環境」「サスティナビリティ」「プライバシー」、「人間中心」など、デジタルによる巨大なエコシステムに対するアンチテーゼ、さらにそれらとの付き合い方についての話題が多く多く取り上げられている。多くのセッションにおいて「地球市民として企業や企業家、政府は何をするべきなのか?」という大きなテーマに向き合っている点が印象的だった。