メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×

「CES 2020」現地レポート③ — テクノロジーによる顧客体験の革新を加速させる P&Gとデルタ(森 直樹)

share

【関連記事】「CES 2020」現地レポート② — SamsungとLGに見る要素技術を体験に昇華させるストーリー構築力(森 直樹)

2020年のテクノロジートレンドを占う最初のイベント、世界最大規模のテクノロジーカンファレンスであるCESが、今年も米国・ラスベガスで始まりました。CESは、4,400以上の企業が世界中から出展し、250を超えるセッションが行われます。その参加者は例年、世界の約160カ国から17万人以上に及ぶ巨大イベントです。
CESは、そもそもは家電ショーとしてスタートしましたが、今日ではテクノロジーとイノベーションのイベントへと変化。スマート家電に始まり、モバイル、自動車、ロボティクス、IoT、AI、XRなど、先端的な取り組みに触れることができます。ここで触れることができるテクノロジーは、ライフスタイルを大きく変化させることは間違いなく、マーケターにとっても注目すべきイベントと言えるでしょう。
オリンピック・パラリンピックイヤーの2020年も、「アドタイ」視点で現地から森直樹が最新情報をお届けします。

昨年の本格的な参加に続き、今年もP&Gはプレスカンファレンスを含め、複数のセッションに登壇したほか、大掛かりな出展をしていました。また、他に目立っていたのはデルタ航空。同社のCEOであるEd Bastian氏が基調講演に登壇していました。P&Gもデルタ航空も、テクノロジーによるイノベーションへの取り組み、顧客体験の革新について、多くの事例や実績を通じて発信しています。

私が非常に関心をしたのは、これらの企業の発信が、製品やサービスを通じた顧客体験とテクノロジーを堅実につなげていることです。顧客体験の変革に真摯に取り組む姿が見てとれましたし、企業の今後の姿・ビジョンがストーリーを持って語られることで、その発信がブランド価値の向上にも大きく貢献していると感じました。両社はCESという場を通して、CESの文脈で、企業価値やブランド力を高めたに違いありません。

P&GはCESをConsumer Experience Showと再定義

P&Gは昨年に続き、今年もプレスカンファレンスから参加しています。プレス発表では、Chief Design Officer のPhil Duncan氏、Chief Brand OfficerのMarc Pritchard氏、そしてCEO、P&G Baby & Feminine CareのFama Francisco氏が登壇し、P&GがCESに出展する意義、同社の価値創造の取り組みについて語っていました。

Phil氏はCESを通して、P&Gが消費者から最先端のイノベーションの着想を得ていること。Oral-B(電動歯ブラシ)やホームケア商品、ファミリーケアビジネスなどによる同社のイノベーションが、顧客体験を刷新していることを共有したいと話しました。またP&Gが提唱するDisruption(破壊的革新)の新しい定義であるConstructive Disruption(建設的な破壊的革新)を、P&Gが巻き起こし、優れた消費者体験を創造していることについて語りました。

P&Gの Chief Design Officer Phil Duncan氏。同氏は、CONSTRUCTIVE DISRUPTIONにより優れた顧客体験を生み出し、テクノロジーと人間の両方の視点を融合することで、イノベーションにつながる洞察力を見出すという。

CES期間中にPGLifeLab.comが開設され、映像などを通じてP&Gの新しい製品、イノベーティブな取り組みなどが発信される他、P&Gベンチャー発の商品を購入することもできる。

昨年に続き、CESを「Consumer Experience Show」と解釈。「我々の事業の全ては消費者で始まり消費者で終わると」いう自身の立場を明確にしている。

Fama氏はCESについて「CESは、P&Gブランドが最先端のテクノロジーで、いかに顧客体験を改革できるかを示すプラットフォーム」だと語る。そして消費者のニーズは技術・社会・環境によって変化し続けており、都市化、高齢化、高齢化、デジタル化のマクロトレンドが消費者の生活、仕事、遊びに大きく影響を与えていて、P&Gとして最も重要な関心事だと説明した。

Mark氏はDisruputionとは、どこにでも存在し、今後10年で飛躍的に増加することを予測した上で、DisruptionIへの最善の対処法は、自身がそれをリードすることであると、Construction Disruptionを先導するために取り組んでいることを説明した。

 

次ページ 「180を超える実験が進行中、市場への投入スピードをアップ」へ続く