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コラム

「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」ディレクターズカット

第4回 第3章 「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」ディレクターズカット

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【前回】「第3回 第2章 「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」ディレクターズカット」はこちら

恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。』の著者、小霜和也氏が本書では収録しきれなかった内容をお届けするコラム。本書と合わせてお楽しみください。

「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」
著:小霜和也
発行:宣伝会議
詳細・購入はこちらからご覧ください(宣伝会議オンラインはこちら)(Amazonはこちら

こんにちは、小霜です。

昨年末、僕のクライアントで1年のマーケティング活動の総括が行われました。そこでスコアが顕かになったのですが、フルファネル化によってKPIが昨年対比で600%以上に伸びてました。

フルファネルの破壊力、恐るべしです。

フルファネルという概念はそんなに最新のものでなく数年前から唱えられていたのですが、実際に、それによって成功を収めたという話はほとんど耳にしません。思うに、フルファネルを作るために必要なのは「腕力」なのですが、ほとんどのケースでそれを欠くために理屈はわかっていても実践ができないのでしょう。

腕力とは何か。

たとえば映像コンテンツなら、TV用の16:9、スマホ用の1:1、さらにTrueView用、SNS用、バンパー用など、メディアによってタイプを作り分けることとなりますが、プロデューサーは「それだけ編集時間が増えますしゴニョゴニョ」と言ったりします。そういうことに対して「だから何?」で済ませられる力が腕力です。編集時間がちょっと延びるぐらい、たいした話じゃない。お金を多少増やせばすむこと。僕は1回の編集で60タイプ以上作ったことあります。

ところがデジタルの人たちはクリエイティブに口出しできないから、現場の小さな事情でフルファネル化ができない本末転倒が起きてしまうんです。そのように、フルファネルを構成する一人一人の部分最適を聞いていると歪なファネルが出来上がりますので、残念ながら、それを綺麗に整えるためには腕力が欠かせないのです。

そしてその腕力を最も持っているのがマス系のCD。だからデジタル時代は(しばらくは)腕力の時代、オッサンの時代であるという前提で考えるべきなのです。そして広告主内部の組織間、エージェンシー間の全体最適にも腕力が必要で、その後ろ盾が社長という構造になるのです。

さて、第3章はフルファネルを中心にマス・WEB融合の具体的な話とそれを阻む組織の弊害の話をしました。

ここで削除したのは、

P.140
このやり方にフィットしやすいブランド、しにくいブランドはあります。たとえばOisixはいつの間にかいろんな有機野菜系企業を傘下に収めるグループになっていて、それぞれ主ターゲットが異なります。そんな企業にはうってつけの手法と言えるでしょう。逆にターゲットが固定しているのなら、次に述べる「差別性」分類が効果的です。

クラスター分類によるミドル・ファネルはテストマーケティング的に使うこともできます。後から解析すると、たとえば「金融商品に興味のある層が主にコンバージョンしていた」などがわかってくるので、そこから今までつかんでいなかった顧客像が浮かび上がってきたりもして、次の打ち手につながります。この箇所を削除した理由は…何だっけ。忘れました。

P.144
少し話は飛びますが、いまやっているクラスター分類は、文系の世界です。「映画好き」「漫画好き」「小説好き」「ゲーム好き」といった。これを「ホラー好き」「恋愛好き」「コメディ好き」「サスペンス好き」という視点で見れば、分類の仕方も変わります。視点によってグループ分けが変わるのがクラスター分類の特徴ではありますが、今後はいろんな視点が絡み合って、クラスター分類の最適化をどうするか、という問題が出て来ると予測します。僕はいずれこれを「クラスターp」「クラスターq」「クラスターr」といった、理系の世界に委ねたいと思っています。19世紀にエヴァリスト・ガロアという天才数学者がいまして、10代で群論というコンセプトを発見します(惜しくも20歳で決闘に負けて死んじゃうのですが)。群論は大学で習う数学ですがここで言う「群」とはアクションの集まりでして、これを活用すると最適なクラスター分類が可能になる気がするのです。気がしてるだけですが…。さすがに自分でこれを勉強する余裕はないのでうまい方程式を作ってくれる数学者がいたらなーとか思ってます。

その人がどんな人であるかというデータは、基本的にはその人の行動から推測されます。金融サイトをよく観ているとか、何か漫画買ったとか、朝起きるのがつらいとSNSでぼやくとか、これらを文系思考で整理してクラスター分けするのは限界があります。AIでガラガラポンして「この4クラスターへのアプローチが最大効率!」という時代が来ると思っています。その起点が群論ではないかという気がしているのですが、気がしているだけなので突っ込まれても困ると思い削除しました。

P.160
ハズキルーペのTVCMは社長自らが企画していると話題になりましたが、それ以前にマス広告にドカンと大金をはたいて失敗した反省が基になっているようです。BS、CSから地道に出稿をし直し(年配層はWEBよりもBS、CSの方がコミュニケーション効率いいです)、取扱店舗の拡大を見ながら潜在層を掘り起こすためにTV、という正しいステップに戻したとのこと(さらに言えばTVCMも年配の方が効きがいいです)。

ハズキルーペのCMについてはメディアの試行錯誤の結果としてクリエイティブまで自分でやらなきゃという境地に至ったのでしょう。社長の思いつきで作られたようなイメージになっていますが、おそらくそれまでの積み重ねから必然的にあそこに辿り着いたのであって、残念ながらエージェンシーのスタッフはそこに着いていけなかったのであろうと想像しています。

P.160
ベンチャー企業のマーケティング予算はいろいろ複雑です。一気にマーケットを獲らないと後発の大企業に持って行かれてしまう、という焦りや、認知がないから資本政策がうまくいかないのだ、という思い込みからTVCMに走りがちですが、なけなしの資金を無駄にすることのないよう、精緻なシミュレーションをするに越したことはないでしょう。

僕のところにも「TVCMやりたい」というベンチャー創業者が訪れますが、「いったん落ち着きましょう」と言います。マス広告にお金かければ資本政策がうまくいくというセオリーはないですから。だいたいはガッカリして帰って行かれますね。「やりましょうやりましょう」とうまくノセればいい商売になるのかもしれませんけど…。

次回は「第4章」です!

小霜和也氏×電通デジタル川上 宗一社長 トークイベント開催決定!

『恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。』の刊行を記念し、著者の小霜和也さんと、電通デジタル代表取締役社長に就任された川上宗一社長の対談を行います。

経営者目線で今必要とされるマーケティングの全体像を俯瞰した本書ですが、広告会社の方にとっては、「クライアントが読む前に、読んでおかないとマズい1冊」でもあります!

経営者のマーケティングに対する意識の変化に応じて、
今の時代におけるエージェンシーの役割はどうなっていくのか?
エージェンシーがどのように経営者と対峙していけばいいのか?
などについて、語り合うこの対談。

広告会社の皆様、貴重な機会をお見逃しなく。

開催概要

※定員に達したため、申込を締め切りました。

日時:
2020年2月14日(金) 19:00~21:00(15分前に開場)
 
会場:
ガーデンシティ渋谷 ホールB
東京都渋谷区渋谷2-22-3 渋谷東口ビル(渋谷駅より徒歩3分)
 
参加条件:
『恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。』をご持参いただいた方。
当日販売もしております。
Kindle版ご利用の方は、受付にて画面をお見せください。
 
定員:
80名
 
申込み方法:
こちらよりお申込みください。
・席数に限りがあるため、事前のご予約をお勧めします。
・定員になり次第、受付締切となります。


恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。

<目次>

はじめに


第一章 社長、まずはマーケティング部をなくしましょう
・マーケティング=価値の創造
・マーケティングの4P
・総力戦の時代
・マーケティング部を宣伝部に戻す
・貯めるべきもの3つ「直感力、共有知見、データ」
・忖度のない体質がマーケティング体質


第二章 「名物宣伝部長」はどこいった
・管轄外の責任を負わされる宣伝部長
・広告業界の構造的問題
・宣伝部とエージェンシーの深まる溝
・CMOに「4P」全部預けられるのか?
・社長と部長はパートナー


第三章 御社は「ミドル・ファネル」作れますか?
・ミドル・ファネルから作る
・外してならないファネルだけが外れてる
・トップ、ミドルのクリエイティブを寸断させない
・社長は「トータルCPA」を見る
・部門「間」がますます重要に


第四章 やっぱし事件は現場で起きている
・制作現場の実状
・戦略、メディア設計、クリエイティブの順に
・現場の忖度で得体の知れないものができあがる
・社長が「おかしい」と感じたら、何か起きている


第五章 「Vision」の本当の話をします
・時代変動の中で自分は何者か再点検
・Visionを間違うと正しいマーケティングはできない
・Visionの話(つづき)
・Values
・オレのCI


第六章 テクノロジー変わるマーケティング思想変えるビジネスモデル変える
・新たなマーケティング思想、カスタマーサクセス
・競合より顧客の動向を見て成功する
・広告という神話
・顧客を手放さないサブスクリプション
・商品は優れていても、ビジネスモデルで負けていないか
・テクノロジーが新しいビジネスモデルを閃かせる


第七章 不買運動が起きてます!
・SDGsはイケてる
・誰かを変えるCSR、自分を変えるCSV
・ESG投資で変わる企業の戦い方
・Belief Driven
・次世代の動き
・SDGsはこれからの参加資格
・IRで商品Promotionの土壌をつくる


第八章 社長、さっき言いかけたことですが


おわりに