あなたの企業・製品・サービスは凡人です! ブランド論の教科書が与える幻想

ブランド論は、超優秀なブランドが前提の方法論

凡人であっても、スーパースターになれる方法論があればよいのですが、残念ながらブランド論のなかにあるブランド構築の方法論は、そもそも超優秀なブランドの成功例を分析し、つくられた方法論です。

ものすごくざっくりいうと
ブランド構築方法論は、以下の3つを決めてそれを実行すること。

①ブランドアイデンティティ(ブランドの存在価値)
②ブランドプロミス(ブランドが約束すること)
③ブランドパーソナリティ(ブランドの人格・個性)

ブランドづくりにおいては、この三本柱が重要といわれています。そこで、3つを明確に決めることが方法論の基本です。企業ブランドをつくるプロジェクトでは、賢い人たちが集まって、ブランドアイデンティティは何なのか?パーソナリティは?と何度も何度も議論をします。その結果としてよくあるのが、ブランドアイデンティティとして「人と地球が大好きで、イノベーションで、未来にチャレンジする企業」というブランドの存在価値。こねくり回して、知恵を絞って、ここにたどりつきます。もちろん、こんなものは害になることはあっても、何の役にも立ちません。

アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズが数百年にひとりの天才であり、極端な人格の持ち主でした。革新へのこだわりは異常なまでのものだったそうです。だからアップルは、生まれながらにブランドのパーソナリティとして革新をもっています。超優秀ブランドは後付けで整理・分析すると、必ず三本柱がある。だからブランドの方法論は、三本柱を明確にしないといけないとしている。ただ、それだけのことです。

その企業・製品・サービスが、何のために存在して・どんなよいことをするのか、個性は何だろうと、強みは何だろうと改めて考えないといけない。

いちから考えたところで、所詮たいした強みはありません。考えないと出てこない段階でだめです。考えるまでもなく生まれながらに持つ、隠しても隠しきれないくらい強烈なのものである必要があります。ですから凡人には、この方法論は通用しないのです。

「大リーグのイチロー選手を育てた教育論」とか「フィギュアの羽生結弦選手のやってきた練習方法」とかを読んでも、我が子は大リーグ選手にもなれないし、自分には四回転ジャンプはできない。そんなことはみんなわかっているはずなのですが、なぜかブランドの場合には真に受けてしまって天才の方法論を表面的になぞって、そのままやろうとしています。だから、ブランドができないのです。

次回は、ブランド論では、ブランドはできない最後の課題を翻訳します。

本コラムの4回目記事公開は、2020年2月20日(木)を予定しています。

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片山 義丈(ダイキン工業 総務部/広告宣伝グループ長/部長)
片山 義丈(ダイキン工業 総務部/広告宣伝グループ長/部長)

1988年ダイキン工業入社、総務部宣伝課に配属。1996年広報部 広報担当、2000年広報部広告宣伝・WEB担当課長を経て2007年より現職。業界5位のダイキンのルームエアコンを一躍トップに押し上げた新ブランド「うるるとさらら」の導入や、ゆるキャラ「ぴちょんくん」ブームに携わる。現在は 統合型マーケティングコミュニケーション(IMC)による企業ブランド構築、マスとデジタルのB2C商品広告展開、広告媒体の購入、グローバルグループWEB統括を担当。日本広告学会員。

片山 義丈(ダイキン工業 総務部/広告宣伝グループ長/部長)

1988年ダイキン工業入社、総務部宣伝課に配属。1996年広報部 広報担当、2000年広報部広告宣伝・WEB担当課長を経て2007年より現職。業界5位のダイキンのルームエアコンを一躍トップに押し上げた新ブランド「うるるとさらら」の導入や、ゆるキャラ「ぴちょんくん」ブームに携わる。現在は 統合型マーケティングコミュニケーション(IMC)による企業ブランド構築、マスとデジタルのB2C商品広告展開、広告媒体の購入、グローバルグループWEB統括を担当。日本広告学会員。

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