コラム

ブランドなんか大嫌いなブランド担当者が33年かかって、たどり着いたブランド論(実践編)

日本におけるブランドづくりは、いばらの道。だからこそ取り組む価値がある。

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©123RF

「ブランドなんか大嫌いなブランド担当者が33年かかって、たどり着いたブランド論(実践編)」最終回である第9回です。

新しいロゴやかっこいいイメージ広告をつくることがブランド戦略ではありません!

はやいもので、2020年1月5日よりスタートした、「ブランドなんか大嫌いなブランド担当者が33年かかって、たどり着いたブランド論」ですが、前編と実践編あわせて今回が17回目、ついに最終回となります。

この連載の目的は「ビジネスの現場で本当に使えるブランドのつくり方」を説明することにありました。

今の時代において、企業にとってブランドは重要であるといわれています。「ブランドは企業における第五の経営資源」であるとか、「ブランドをつくることで商品の魅力を上げる」という話がビジネスの現場では当たり前になりつつあります。

しかしながら、「第五の経営資源だから!」と意気込んで取り組むブランド戦略で多いのは、企業のロゴマークを変えることや、新しい企業スローガンをつくること。かっこよくなった見慣れないロゴと「人と地球が大好きで未来にチャレンジする企業」のような美辞麗句が並んだ新しいスローガンができたところで、第五の経営資源といえるような価値などできるはずがありません。

あるいは、「商品のブランドをつくる!」といいながら、結果的には「ブランド広告」という名の商品を売ることにまったく貢献しない、かっこいいだけのイメージ広告をつくって終わりになってしまう。
これらの間違ったブランドづくりへの取り組みが、世の中にはあふれています。

なぜ、こんな失敗をしてしまうのか?28年かかってやっと気づいた原因

このような指摘をしてきましたが、かく言う私も、長らく同様の間違いを犯していました。私が、このような間違いを起こす原因が「ビジネスの現場で本当に使えるブランドのつくり方」を理解していないからだと気づいたのは、ブランド担当になって28年経ってからのことでした。

研究者が執筆した優れたブランド論や、ブランドづくりを専門とするコンサルタントが執筆したブランドづくりの教科書など、この世の中にはたくさんのブランド本が存在します。しかしながら、これらは学術的な視点、生活者からの視点、コンサルの視点で書かれているものであり、企業や商品のブランドづくりに取り組むビジネスの視点から書かれているものではありません。そのため実務者が、これらの教科書をそのまま使ってブランドづくりに取り組んでも、絶対にブランドはできないのです。

またブランドの教科書は、アップルやスターバックスなどの差別化された超一流のスーパースターブランドを前提とした方法論になっています。しかし現実には、私たちの企業や商品は、競合する企業・商品との違いもほとんどありません。スーパースターではなく、人間でいうと凡人です。素晴らしい特徴や才能はそもそもないのですから、スーパースター前提の方法論ではなく、凡人としての方法論が必要なのです。

次ページ 「凡人を前提にした「ビジネスの現場で本当に使えるブランドのつくり方」」へ続く

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