メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×
コラム

野呂エイシロウ「テレビPRで、売り上げをつくる!」

ブランディング、スピーチ、PR戦術が学べる!名画から最新作まで映画14選

share

03.ブランディングのポイントが押さえられる作品

今、新型コロナの影響で飲食店は非常に厳しい状況です。1本目のドラマ『王様のレストラン』は、閑古鳥が鳴くレストランの復活劇です。復活を担ったのは伝説のギャルソン千石武(現松本白鸚)。「店に必要なのは偉大なシェフとギャルソン、そしてオーナーです」という言葉に表されるように、料理と接客と経営の3方向でこの店の復活を目指します。飲食業界において、いかに接客というものが大切なのかということを痛感させられる作品です。

広報という立場の人は出てこないが、すべてのスタッフが広報であるということを実感させられます。素晴らしい教科書です。社員みんなで見ましょう。

『王様のレストラン』

2019年12月号掲載
STORY
オーナーシェフの亡き後、従業員たちはやる気をなくし、客足も途絶えてしまったフレンチレストラン「ベル・エキップ」。新しくオーナーに就任した原田禄郎(筒井道隆)は、レストランの再建のために伝説のギャルソン、千石武(松本幸四郎)を呼び寄せ、レストラン再建を目指し奔走する。
放映:1995年
製作国:日本
脚本:三谷幸喜
出演:松本幸四郎(松本白鸚)、筒井道隆、山口智子、鈴木京香

2本目は『クィーン』。これは英国王室と英国政府の広報合戦を描いた史実に基づいた作品です。トニー・ブレア首相(マイケル・シーン)と、王室秘書官ロビン・ジャンヴリンのやり取りは必見。ふたりとも生粋の広報マンで、政府、王室のブランディングを真剣に考えています。映画は、元皇太子妃のダイアナがフランス・パリで亡くなり、その後の葬儀に関するぶつかり合いを描いています。究極のブランディング戦略を学べる一本です。

『クィーン The Queen』

2019年2月号掲載
STORY
1997年8月、イギリスのダイアナ元皇太子妃が交通事故で急逝する。エリザベス女王は、彼女を“すでに王室を去った人間”として、国葬を執り行わないつもりでいた。しかし、国民は女王の頑なな態度に、王室への不信感を募らせ、マスコミもバッシング。女王はこれ以上避けることのできない問題への決断を迫られる。公開:2006年
製作国:イギリス
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:ヘレン・ミレン、マイケル・シーン、ジェームズ・クロムウェル、ヘレン・マックロリー、アレックス・ジェニングス

そして3本目は『アート・オブ・デザイン』。これは全シリーズを見たほうがいいドキュメンタリー映画です。今回紹介しているのは、ポーラ・シェアというロゴデザインの専門家。ティファニーやマイクロソフト、コカ・コーラなどのデザインを担当したことで有名です。なぜ、ロゴが大切なのか、色使いの秘密などが学べます。日本はブランドをコンセプトからつくる傾向がありますが、そうではない真髄を見てゆく眼力に共感しました。ブランドは「希少性」です。そこをさらに深掘りして学びましょう。

『アート・オブ・デザイン』

2020年1月号掲載
STORY
1話につきひとりのデザイナーにスポットを当てた、Netflixオリジナルのドキュメンタリーシリーズ。『TheNewYorker』の表紙デザインを担当するクリストフ・ニーマン、NIKEの「エア・ジョーダン」のデザインを担当したティンカー・ハットフィールドら時代を切り拓いてきたデザイナーが毎回登場する。配信:2017年
製作国:アメリカ
製作総指揮:スコット・ダディッチ
出演:ポーラ・シェア

04.スピーチライティングを学べる作品

1本目はドラマ『ザ・ホワイトハウス』。シーズン7まであり、スピーチライターのサム・シーボーン広報部次長と、トビー・ジーグラー広報部長(リチャード・シフ)のプロフェッショナルな仕事ぶりは圧巻です。ボクも様々な企業の社長のスピーチを書くことがあるが、いつも参考にしています。どうのようにして大統領のスピーチはできてくるのか、そのプロセスを学べる一本です。最後の瞬間まで切磋琢磨し、単語ひとつで悩むあたりが気持ちいいです。

『ザ・ホワイトハウス』

2017年9月号掲載
STORY
ホワイトハウスを舞台に、民主党のバートレット大統領とその側近たちが、外交、経済や差別、ドラッグの問題などに対峙していく。放送(日本):2002年10月〜2003年3月(ファースト・シーズン)
製作国:アメリカ
製作総指揮:ジョン・ウェルズ、アーロン・ソーキン、トーマス・シュラム
出演:マーティン・シーン、ロブ・ロウ、アリソン・ジャニー、リチャード・シフ

2本目はこちらも政治モノの連続ドラマ『サバイバー:宿命の大統領』です。オバマ政権時代の広報セス・ライト(カル・ペン)がいい味を出しています。会見でしどろもどろしている後輩に言った「主導権を握るんだ。連中は怒った犬みたいだ。報道官が自滅する3原則がある。敵視、嘘、推測。ひとつでもやれば自滅だ」は名言。企業広報で筆者が必ず伝える一言です。スピーチの怖さを痛感するドラマでもあります。

『サバイバー:宿命の大統領』シーズン1(第4話から)

2018年2月号掲載
STORY
米国住宅都市開発長官のトム・カークマンは下位の閣僚で、有事の際に大統領となる「指定生存者」に指名されていた。そんな中、米政府がテロリストに襲撃され、議会と内閣が全滅。生き残ったトムは大統領を継承し、米国を再建することになる。放送(日本ではNetflix独占配信):2016年12月〜
製作国:アメリカ
原作・製作:デヴィッド・グッゲンハイム
出演:キーファー・サザーランド、ナターシャ・マケルホーン、マギー・Q

3本目は『バイス』。ジョージ・W・ブッシュ大統領下の副大統領ディック・チェイニー(クリスチャン・ベール)の自伝的映画です。ここで注目するフランク・ルンツ(アダム・バートリー)は、筆者がもっとも尊敬する広報マン。というか、世論調査のプロです。実在する人物で言葉の魔術師でもありました。映画の中で、遺産税には誰も反対しなかったのに「では、死亡税と呼んだ場合はどうでしょう?」と一般の人に聞くと猛反対される。実は一緒のことなのに……。言葉を巧みに活用して世論を動かしていく姿は惚れ惚れします。たぶん新型コロナが猛威を振るう今でも、このような戦略を担っている影の人物は必ずいるのでしょう。いずれ筆者もそうなりたいと願います。

『バイス』

2020年2月号掲載
STORY
1960年代半ば、ディック・チェイニーは、後に妻となる恋人・リンに後押しされ政界の道へと進み、政治の裏表を学んでいく。やがて大統領首席補佐官、国務長官を歴任し、第43代ジョージ・W・ブッシュ政権で副大統領の座に就く。「アメリカ史上最強で最凶の副大統領」と呼ばれ、アメリカをイラク戦争へと向かわせた影の支配者を、実話をもとに描いた。放映:2018年
製作国:アメリカ
監督:アダム・マッケイ
出演:クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、スティーヴ・カレル、アダム・バートリー

05.優秀なトップのPR戦術が学べる作品

この在宅ワークの間に見返したのがこの3本です。

1本目『女神の見えざる手』は、ロビイストの映画。マスコミを上手に利用し、広報の仕事にも通じるものがあったのでピックアップしました。テーマは銃規制。ジェシカ・チャステイン演じるエリザベス・スローンは超敏腕のロビイスト。アイデアと大胆な行動力で不可能を可能にしてゆきます。世の中や世論を動かす面白さが実にうまく描かれています。正義と名誉と報酬、そして影響力の面白さを学べる作品です。筆者も常にチャレンジしている分野でもあります。

『女神の見えざる手』

2017年12月号掲載
STORY
大手ロビー会社で活躍するエリザベス・スローンは、銃擁護派団体から仕事を依頼される。「信念に反する仕事はできない」と、敵陣営である小さなロビー会社へ移籍する。やがてエリザベスの過去のスキャンダルが暴かれるなど、事態は予測できない方向へ。公開:2017年
製作国:フランス・アメリカ合作
監督:ジョン・マッデン
出演:ジェシカ・チャステイン、マーク・ストロング、ググ・バサ=ロー、ジョン・リスゴー

2本目は『サンキュー・スモーキング』。筆者は主人公のニック・ネイラー(アーロン・エッカート)に憧れています。なにせ「情報操作の王」と呼ばれているのです。タイトルの通り、タバコを普及させるのが役割のニック。相手の揚げ足をとって正論で相手をコテンパンにしていきます。ニックのような視点と口達者な人間になりたいと筆者も日々訓練中です。

『サンキュー・スモーキング』

2017年7月号掲載
STORY
タバコ研究アカデミーの広報部長・ニック。喫煙者の権利をめぐり上院議員と敵対する中、映画に喫煙シーンを盛り込もうと企む。公開:2006年
製作国:アメリカ
監督:ジェイソン・ライトマン
出演:アーロン・エッカート、マリア・ベロ、キャメロン・ブライト、ケイティ・ホームズ、デイヴィッド・コークナー、ウィリアム・H・メイシー

そして、3本目は『ウワサの真相ワグ・ザ・ドッグ』です。スピン・ドクターと呼ばれる事実の揉み消しを行うコンラッド・ブリーン(ロバート・デ・ニーロ)。大統領のスキャンダルを国民の目からそらすために、嘘の戦争はでっち上げるし、奇跡の生還を果たしたスターはつくり上げるし、次々と壮大な情報操作を行ってゆきます。

『ウワサの真相ワグ・ザ・ドッグ』

2017年6月号掲載
STORY
米大統領のセックス・スキャンダルが発生。戦略広報のプロ(もみ消し屋)と映画プロデューサーが架空の戦争をでっち上げ、国民の関心をそらそうと暗躍するコメディ映画。公開:1997年
製作国:アメリカ
監督:バリー・レヴィンソン
主演:ロバート・デ・ニーロ、ダスティン・ホフマン、アン・ヘッシュ

筆者は情報操作こそ、広報の醍醐味のひとつだと思っています。それは映画の中のように悪いことに対してではありません。環境問題を解決するにも、人権問題を解決するにも情報操作が必須だからです。そんな意味でこの3本をピックアップしました。情報操作がない時代はありません。だからこそその導火線に火をつけたいと常に思っています。

イラスト/ミツミマリ

月刊『広報会議』では、 放送作家・PRコンサルタントの野呂エイシロウ氏が広報担当者におすすめの映画を毎月1本紹介。また、現在発売中の月刊『広報会議』2020年7月号(6月1日発売)は、「危機管理広報」を特集しています。