必要性は叫ばれながらも、実際にはなかなか進まないデジタルトランスフォーメーション。紙中心のコミュニケーション手段がデジタルに置き換われば、そこに割いていた多くの時間を、より価値のある業務に割り振ることができる。そう考え、動画を活用した業務効率化プロジェクトを成功に導いた、損害保険ジャパンでイノベーションに取り組む遠山岳志氏、宇津木奈央氏、河口晃一郎氏に、『見通し不安なプロジェクトの切り拓き方』の著者である前田考歩氏が話を聞きました。今回はその前編です。
「勝利条件」は、営業社員が手軽に動画制作できるようになること
前田:
まず、損保ジャパンさんが動画活用プロジェクトに取り組もうとしたきっかけと、遠山さん、宇津木さん、河口さんがどのような立場でこのプロジェクトを推進されているのか教えてください。
遠山:
私たちのチームは、IT企画部企画グループ付きのイノベーションチームとして、会社にとって新しい価値のある取り組みを実施するミッションを背負っていました。多くのテーマがありましたが、そのなかで紙中心の文化を改善したいという思いと、社会的に動画活用の流れが進んできているという実感から、動画活用をひとつのプロジェクトテーマとして選びました。
また、私たちのビジネスモデルは商品を実際に販売する保険代理店によって成り立ちます。代理店さんの売上向上を支援するツールとして、動画を活用したいと考えました。これは、競合他社も同じく紙中心の文化にあるなか、積極的に動画を活用して、代理店さんとのコミュニケーションをスムーズに、わかりやすくしていき、差別化を図りたいという狙いもありました。
宇津木:
私自身、ある他社サービスの営業を動画で受けたことがあり、動画による説明・プレゼンテーションのわかりやすさを実感しており、自社でも取り組みたいと思っていました。