コラム

日本最大級の「顧客接点」をもつコンビニから学ぶ!社会課題解決の糸口

海外マーケットも拡大 コンビニの未来はグローバル目線抜きには語れない

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労働力不足を救う!外国人留学生との共生社会実現へ

28年前の話になるが、横浜の伊勢佐木町でローソンの店長をしていた。筆者はその時はじめて、コンビニで外国人とコミュニケーションをとった。

夜勤をしていると、毎日朝方4時ごろに仕事を終えたコロンビアの女性たちが来店してきた。異国日本での生活に加え、昼夜逆転の生活は大変だったようだが、様々な食べ物が溢れんばかりにある日本のコンビニには助けられている、楽しいと言ってくれていた。

また、夕方には近所の若葉町にあるタイ料理店のタイ人店長が氷1kgを毎日5袋買ってくれた。初めての日本の商売で業者も知らないので、コンビニで買っているのだという。

異国の地で働く外国人にとっては、何でも揃い、食べ物も充実している24時間年中無休のコンビニは心のオアシスになっていたのだろう。

港町である横浜には、当時から外国人のお客さまは珍しくは無かったが、全国的に見れば外国人労働者は少なかった。20年後の都市圏で、外国人留学生がいなければ店舗を運営出来なくなるほどの人手不足になるとは、その当時の私には想像出来なかっただろう。

2019年の全アルバイトのうち、ファミリーマートやローソンでは、約7%が外国人留学生となっている。

現在はコロナ禍で状況は一変しているが、特に首都圏のビジネス街では、外国人留学生なくしては店舗運営がままならない状況だった。

外国人留学生とは、大学・大学院・高等専門学校・日本語教育機関などで学ぶ外国から来日した学生で、1週間に28時間以内(夏季休暇期間などは週40時間以内)アルバイトとして働くことができる。

コンビニは介護・ビルクリーニング・素形材産業・産業機械製造業・電気、電子情報関連産業・建設・造船、船用工業・自動車整備・航空・宿泊・農業・漁業・飲食料品製造業・外食業の14分野からなる特定技能制度※1入りが見送られているため、コンビニで勤務するのは外国人留学生のみとなる。コンビニ各本部は外国人留学生を雇うため、研修やマニュアル、レジの言語対応、動画配信対応などを行なっている。

英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ネパール語など多言語にわたるため、非常に手間のかかる対応となるが、それ以上に人手不足は深刻なため、対応は年々進化していっている。

アルバイト採用基準としては日本語能力試験N3以上(日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することが出来る)となっているため、コンビニの店頭では働いている外国人留学生は驚くほど優秀である。

筆者も月に1回程度コンビニで店舗勤務をするが、他国に行き、1200ほどのタスクがあるコンビニのオペレーションをこなす自信は無く、コンビニで外国人留学生を見るたびに本当に感心する。

今、2050年までに約2000万人以上の日本人がいなくなるといわれている。日本国内では留学生を含む外国人労働者との共存することが今後も必要なのは明らかだ。コンビニの外国人留学生は、そんな未来の日本の労働環境の先駆けとなっているのだろう。

※1 特定技能とは、2019年4月から導入された新しい在留資格。日本国内において人手不足が深刻化する14の業種で、外国人の就労が解禁された。

顧客目線だけでのパッケージで現場大混乱?! インバウンド需要へはどう対応する?

店頭に目を向けると商品でもインバウンドを意識している。

コンビニおにぎりは、シーチキンマヨネーズは、「Tuna Mayo」紅鮭は、「salmon」辛子明太子は「Spicy Cod Roe」など英語併記されている。

また、リニューアルしたローソンのPBは、英語・中国語・韓国語を併記している。

インバウンドを意識した対応だったが、コロナ禍でインバウンド顧客が消滅してしまったため、お客さまの反応を測れない状況だ。

ただし英語での表記が大きいパッケージでは、納豆がnatto、豆腐がtofuなど買う日本人顧客に大変分かりづらく識別出来ない為、2カ月経った現状は日本語表記のパッケージに戻ってしまっている。

冷凍食品などは統一デザインのため、商品の区別がつかず、店員が陳列に時間がかかるなど店頭が大混乱を起こした。

インバウンド顧客や外国人留学生も増える中、日本人でも分かりづらいパッケージは時代に即しておらず、全体的に改善されていくようだが、ローソンはPBのパッケージ変更で非常に高い授業料を払うことになったようだ。

コロナ禍で先行き不透明ではあるが、人口減少の日本でインバウンド需要の取り込みは必須で、コンビニにとってもより緻密な外国人観光客への対応の進化は歩みを止める事なく継続検討していく事は必須となる。

また、今回はマスクを除き輸入に関わる欠品は軽微で済んでいるが、消耗品や日用品などは中国依存度が強いカテゴリーもあり、チャイナプラスワン含め、かたよった国からの輸入に頼る商品は、供給先の変更も検討が今後必要かもしれない。

コンビニの国内の店舗数が飽和になる中、伊藤忠は、デジタルと海外戦略を視野に入れファミリーマートを完全子会社化した。

セブン-イレブンは、アメリカで圧倒的NO.1の地位を確固たるものとし、ネット通販に対抗すべく、アメリカの石油精製会社マラソン・ペトロリアムのコンビニを併設するガソリンスタンド部門「スピードウェイ」を2兆2000億円で買収したことを発表した。

ローソンは、中国の上海でプレハブ型コンビニのミニコンビニの新フォーマットの展開をスタートし、狭小エリアの進出を検討している。

中食が充実する「日本式コンビニ」は、同じチェーンの看板でも外国にあるコンビニとはまったく違う。

所得水準の上がっていく地域では、「日本式コンビニ」が求められ、海外でも本格展開していくステージに入ってきた。

「日本式コンビニ」の先駆けといえるセブン-イレブンの1号店が出来てから46年。

独特の進化を遂げた「日本式コンビニ」は、国内では外国人雇用とインバウンドとを共存し、成長する海外マーケットでは新たな勝負の時期となっており、次のステージに入っていきそうだ。

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