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コラム

“Brand Focus, Market Wide” 地域発マーケティングの戦略再考

課題解決こそ、地域から“現場発”「この指とまれ」

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【前回】「ニッチな地域商材を、世界で通じる「ストロングニッチ」に変えるには?」はこちら

ICT技術の発展で地域マーケティングにチャンス到来!?

新型コロナの災禍は、奇しくもこれまでの中央集権型のやり方の限界を露呈した。中央政府の方針が弱かったり揺らいだりする中で、実際の現場対応や対策は各自治体、首長の裁量・力量に頼るという状況が続いている。これからの課題解決は、課題の現場を中心とする分散型のやり方に大きくシフトしていくと思われる。少子高齢化や過疎、自然災害など、課題の現場は広く地域に散らばっているのだから。

とはいえ、地域の課題を地域だけで解決するには限界があるのも事実であり、そこには新しい仕組みや仕掛けが必要となってくる。そのカギとなるのがネットワークである。

新型コロナの影響でテレワークやリモートワークの利用が一気に広がり、様々なビジネス活動においてICT技術が距離の壁を越えることを人々が実感することとなった。ネットワークを持てば、地方にいても全国、世界のリソースを活用することは可能なのである。これは地域、地方にとっては今後大きな武器、切り口となってくると考える。ちなみにこのコラムの取材もすべてZOOMを用いて行った(忙しい人をつかまえるにはリモートが一番である!)。

今回取り上げるのは、熊本発で展開しているソーシャルマーケティングの事例2件である。

1つ目の事例は、コロナで大きな影響を受けている飲食店を応援するWebサービス「みらいの食券」、飲食店の食券(回数券)をスマホで事前に購入し応援するというサービスである。

コロナ禍で、営業停止や制限など大きな影響を受けている県内ならびに全国の飲食店に対して、「あの店はどうなるんだろう」「なくなってほしくない」と思って心配しているファンは多い。そんな声に応え、事前に食事券を買って、あのお店を応援できる仕組みのアプリである。

より詳細な仕組みとしては、スマホで食券を購入すると「商品代金」が決済代行会社に一度集約され、そこから加盟料、決済手数料、振込手数料などを差し引いた額が「売上」として加盟店に入金されるというものである。利用者は、購入食券はマイページで管理され、有効期限内ならいつでも利用できる。事前に決済されるため、お店の収益構造改善にもつながり、回数券によって来店が促され、常連化も期待できるという。

2つ目の事例が、2020年7月に起きた豪雨災害で被災した地域への物資の支援を、円滑に無駄なく必要な人に届けるためのプロジェクト「熊本おくりもんプロジェクト」である。

例えば、泥の掻き出しのために支援団体が購入するスコップ100本のうち、1本分を支援するなどが可能であり、まるでネット上で買い物をするように支援の気持ちを届けることができる仕組みである。コロナ禍の影響で他県から人的ボランティアに参加できない状況を踏まえ、全国から復興への想いを届けることを可能にしたプロジェクトと言える。

次ページ 「地域だからこそ、コンセプト(課題)をフォーカスできるはず!」へ続く